スティーヴン・キング著「ザ・スタンド III」文春文庫

キングの中でもとびきり長い大作の中盤に当たるのが「ザ・スタンド III」。Iでは致死性の高い細菌兵器の蔓延と世界が崩壊していく様を、IIでは崩壊後の生き残った人々が少しずつ集結しつつある姿が描かれていたが、このIIIでは、生き残った人々が、善の象徴であるマザー・アバゲイルと、悪の象徴であるランダル・フラッグの元にそれぞれ集結していく様が描かれている。どちらかというと、善の象徴であるマザー・アバゲイルに集結する主人公たちの描写が長く、ランダル・フラッグはまだ謎の存在という位置づけにある。そして、マザー・アバゲイルの元に集結した人々は、代表を決め始め、再びあるべき人間の生活を再会しようとするところまで描かれている。その彼らが最後にはランダル・フラッグの元にスパイを送り込むという決定を下したのは、物語が大きく転換する予兆を見せている。悪のメンバーの中では、ゴミ箱男のラスベガスまでの旅の過程が詳しいのみで、まだ詳細は明らかにされない。そして、マザー・アバゲイルの元に集結した人の中でも、悪の要素を持ちかけている面々がいるというのは、今後の主人公たちの直面する問題に影を落としそうな気がする。物語も半分を過ぎて、いよいよ本筋に入って来ると思う。

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