富野監督自身が書き下ろした「機動戦士ガンダム」の小説版第3巻にして最終巻。物語は地球連邦がア・バオア・クーを侵攻しようとするが、ザビ家のギレンはソーラーレイを使って、連邦を壊滅させようというのが、物語の骨子である。テレビシリーズでは描かれたソロモン攻略戦はなく、ア・バオア・クーに侵攻する連邦を撃退しようと、ソロモンからドズル・ザビがビグ・ザムで出撃をし、アムロらニュータイプと退治する場面は、かなり話が重たい。第2巻で登場し、ギレンの命を受けたはずのシャリア・ブルがシャアの意向を受けて、連邦のニュータイプ、アムロ・レイを味方に取り込もうとするところが、テレビシリーズと大きく異なる。シャリア・ブルはモビルアーマー、ブラウ・ブロで出撃をし、アムロに同盟者になれと依頼をするが、アムロがそれを理解出来ずにシャリア・ブルを撃破してしまうところが、ニュータイプの限界を示している。テレビシリーズと大きな違いは、アムロとハヤトが戦死をしてしまうという点。しかもアムロはまだ若いジオンの兵士にあっさりと撃墜されてしまうというかなり衝撃のある展開であろう。そしてソーラーレイによって壊滅した連邦と、半身不随になったジオンとの間で、ペガサスJのクルーがシャアと共闘して、諸悪の根源ギレンを撃つところなどはかなりテンションが上がる。シャアのザビ家への報復も過不足なく描かれ、ジオンと連邦が平和講和を結ぶところは、ジオンの勝利を示していると思う。アムロが戦死したところで、セイラの立ち位置が変わってくるが、セイラの独立心が芽生えていると思う。どちらにしてももう一つのガンダムということで、ストーリーの違いを楽しむには最適だと思う。
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