カベルナリア吉田著「沖縄の島へ全部行ってみたサー」朝日文庫

出版業界で沖縄に関する書物が多いのは、下川裕治とか仲村清司あたりがまず思いつく著者だと思う。その他にも何人か沖縄に関する書物を記しているが、なぜか山梨に本社のある出版社が出している「沖縄・離島情報」という情報誌を中心にコラムを書いているのが、このカベルナリア吉田である。そのカベルナリア吉田が2003年に書いた本が、この「沖縄の島へ全部行ってみたサー」である。本の内容はタイトル通り、沖縄県に属する有人島を全部訪問し、ある時は徒歩で、ある時は自転車で、時には宿の車を使ってでも、島の中をうろつくという旅本にしては、あまりに無謀な企画である。当然、沖縄本島近辺の島が多いので、そのあたりの描写も自然と多くなり、宮古島や石垣島については、少々少ない感じを受ける内容になっている。しかし、離島まで訪問するスタイルの旅本というのは意外に存在していなくて、その旅の雰囲気は十分に伝わってくる。本が書かれたのが2003年とかなり前の話なので、2017年の今読むと、データが古い印象も受けるが、それでも結構読みやすく、サクサクと読み進められる本である。情報が古いことを除けば、沖縄に関するそこそこ面白い本になっているのではないかと思われる。

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