スージー鈴木著「EPICソニーとその時代」集英社新書

 1978年に設立されたEPICソニー。1980年代にはEPICソニー在籍のミュージシャンが多数ヒットを放ち、一時代を築いていった。1980年代にティーンエイジャーだった僕も、その洗礼を受け、EPICソニー在籍のアーティストの作る曲をよく聴いていたものである。特にその頃からファンになり、いまだにファンを続けている佐野元春や、熱心なファンというわけではないが、今でも曲はよく聞くTM NETWORKなどは、僕の青春時代の音楽を彩るものになっている。ただ、1990年代に入ると、EPICソニーは色褪せていってしまい、次第に魅力のないレーベルになっていってしまった。そんな感じを受けていた僕だが、その1980年代に光り輝いでいたEPICソニーの楽曲とアーティスト、時代背景、EPICソニーの変遷、そしてプロデューサーだった小坂洋二やミスター・EPICソニーとも言える佐野元春へのインタビューを収録して、EPICソニーを解説する本が、この「EPICソニーとその時代」である。佐野元春やTM NETWORK以外にも、渡辺美里、シャネルズ(ラッツ&スター)、岡村靖幸、BARBEE BOYSなど、誰もが1980年代には聴いたことのある楽曲を放ったアーティストを擁していて、その楽曲やアーティストについての解説を1章丸々使っているので、興味深いものになっている。そして、EPICソニーの変遷には、数奇なものを感じるし、小坂洋二および佐野元春インタビューは、かなり貴重である。当時のティーンエイジャーなら、EPICソニーの洗礼を受けた人が多いとは思うが、それがなんだったのかを解説した本として、この本の意義は見つけられると思う。

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