レビューの詳細は、羊たちの沈黙(4K UHD/iTunes Movies)/Apple TVで観た映画のレビューを参照のこと。この作品、DVD時代に高画質、高音質で有名なCRITERION COLLECTIONで鑑賞をして、実はBlu-ray版もCRITERION COLLECTIONを所有しているのだが、Blu-rayの方は未鑑賞のまま、AppleのiTunes Moviesでバーゲンセールでデジタル配信版の4K UHDを売っていたので、つい買ってしまい、配信版で鑑賞をした次第。日本では4K UHD Blu-rayはリリースされていないようだが、本国アメリカではKino Lorberという会社が4K UHD Blu-rayをリリースしていて、4Kマスターは作られているので、日本ではiTunes Moviesでのみ配給を続けている状態である。
DVD時代からの鑑賞になるので、20年ぐらいぶりの再鑑賞になったわけだが、話は覚えているようで意外と忘れているのと、今回はCRITERION COLLECTIONでの鑑賞ではないので、日本語字幕があり、とても理解しやすくなっているのがポイントである。その結果だが、とても面白い。かなり緊迫感のあるスリラーであり、主役のクラリスを演じたジョディ・フォスターと、ハンニバル・レクターを演じたアンソニー・ホプキンスの名演ぶりが光る作品に仕上がっている。
映画の本筋も、連続女性殺人事件の犯人を追うFBIの活躍を描くのかと思ったら、実はその犯人を追い詰めるためのプロファイルを作り出すためにクラリスとハンニバル・レクターが精神的に息詰まる対決をしていて、そちらの方が本筋の展開になっているところが興味深い。映画のタイトルである「羊たちの沈黙」とは、クラリスの幼少期の体験がタイトルになっているのだが、クラリスが殺されそうになっている羊たちを救おうとする体験が元なのかと思うと、どうもレクターとのやりとりからすると違うようで、クラリスは幼少期に性的虐待を受けていたのではないかという疑惑がそこはかとなく描かれていて、それを知ったレクターが精神科医として満足してしまうという、結構女性を性的好奇心で見る男性に対する申し開き的内容なのかなと思う。
映像は4K/DOLBY VISIONで収録されていて、マスターデータも4Kなのでネイティヴ4Kなのだが、35mmフィルムの限界もあって、高精細かというとそうでもない。特にジョディ・フォスターのアップのシーンでは、どうも意図的にソフトフォーカスにしている感じはするし、フィルムグレインが結構乗っているので、細部の描写が消えている感じはする。それでも、DOLBY VISIONによる色彩管理は素晴らしく、映画を見ている、という感覚を覚えさせてくれる。
音響はDOLBY DIGITAL 5.1chなのだが、これも観客を取り巻くようなサラウンドが展開され、映画に没入できる環境を整えさせてくれる。さすがに三次元サラウンドにはなってはいないが、それでも画面のオブジェクトの動きに応じて音響のオブジェクトも前後左右に移動するシーンや、配置されるシーンなどで見事な効果を発揮している。
1991年制作のかなり古い映画ではあるものの、今見ても相当面白い映画であることには間違いはない。日本で4K映像を見ようとするとiTunes Moviesで映画を購入するしかないようだが、購入してみる価値はあると思う。
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