映画「西部戦線異状なし」(Apple TV 4K/Netflix/DOLBY VISION)

レビューの詳細は、西部戦線異状なし(2022)(DOLBY VISION/Netflix)/Apple TVで観た映画のレビューを参照のこと。この映画、前から気になっていたのだが、上映時間が長いのと、当然戦争映画で重い展開が予想されたので、見るのを躊躇していた。しかし、3月13日に開催された第95回アカデミー賞で、大本命の「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」を相手に国際長編映画賞を含む4部門を制覇し、予想外の受賞となったため、これは一度見ておかなければならないだろうと思い、飛び石連休に当たる今日、時間を作って視聴した次第である。

物語は、第一次世界大戦のドイツ軍に志願したパウルという若者が、次第に戦場の狂気に飲み込まれていく、という展開で、1930年に制作された同名映画が有名なので、ラストがどうなるかだけは知ってはいたのだが、ドイツ人が書いた原作小説をドイツで映像化したのは初ということで、よりリアルな映像と音響が提供され、戦争の不条理がよく現れた映画に仕上がっていると思う。

そして、戦争映画なので音響効果は抜群である。DOLBY ATMOSによるイマーシヴ・サラウンドは戦場の塹壕にいるパウルたちの視点からの音響効果になっていて、単純に連合国軍からの銃撃が自分の四方八方に広がるだけでなく、塹壕内から聞こえる自分の頭上を飛び交う飛行機や砲弾の音、銃撃音などがリアルで、戦場に送り込まれたかのような感覚を味わうことができる。

映像も独特で、主人公パウルの視点で映像を撮っているわけではなく、意外と俯瞰する視点で映像を撮っているシーンが多いことが、この戦争映画を独特のインパクトを与えうるものになっていると思う。どことなく冷めた感覚で戦闘シーンを描いている部分があり、それがリアリティを生んでいると思う。

映像は4K/DOLBY VISIONで収録されていて、素晴らしい高精細な映像を提供している。戦闘シーンのリアリズムもさる事ながら、広大なヨーロッパの大地をリアルな映像で描写する事で、独特のリズムを生んでいるように思う。DOLBY VISIONによる色彩管理も魅力的で、輝度の効果やカラフルな色彩が魅力的である。

重たい話なので、体調が万全な時でないときつい映画だが、アカデミー賞を受賞しただけあって、必見の映画には仕上がっている。映画ファンならば一度は観ておきたい映画である。

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