2019年に購入してから、断続的に見てきたTM NETWORKのEPIC SONY時代のライブビデオのうち、唯一見ていなかったのが、今回視聴した「DRAGON THE FESTIVAL TOUR featuring TM NETWORK 1985.10.31」である。「TM NETWORK THE VIDEOS 1984-1994」の中で、今まで未発表だったライブビデオである。アルバム「CHILDHOOD`S END」のプロモーショナル・ツアーを収録したものであるが、よくこんな貴重なライブ映像と音源が残っていたな、と思わせるぐらい貴重な初期のTM NETWORKのライブビデオである。
オープニングは「CHILDHOOD’S END」から始まるが、一曲目から「DRAGON THE FESTIVAL」なのでいきなりボルテージが上がるようになっている。流石にのちのライブでお馴染みの間奏で語られるマジックワードはないものの、ご機嫌なアレンジが施されていて、聞き応えがある。
その後も、今のTM NETWORKだったら絶対に演奏しないだろうな、と思わせる楽曲が次々に演奏されるので、たまらないところがある。しかも、楽曲と楽曲の間に小休止がなく、続けて演奏するというパターンが多いので、流れるような演出になっている。
「FANTASTIC VISION」では木根尚登のパントマイムが披露され、すでにこの時点から木根尚登の個性がフィーチャーされる演出になっていて、興味深い。また、小室哲哉もショルダーキーボードを積極的に使い、前に出る演出をしているので、TMの三人が目立つような感じを受ける。
「TIME」では、サポートメンバーの助けなしにTMの三人だけでの弾き語りを行い、木根尚登のギターもフィーチャーされるなど、見どころも多い。
そして、サポートメンバーも、この頃はシーケンサーの同期を使っていなかったのか、ドラムの山田ワタルがヘッドフォンをかぶっておらず、完全に山田ワタルのリードのもと、演奏が行われているのが、面白いところである。小室哲哉以外にもキーボードとマニピュレーターが参加して、音に厚みを出しているのが、特色だと思う。
1985年10月31日のライブのどこまでビデオ収録していたのかが気になるが、割とノーカットに近い状態なのではないかなと思う。場面転換のシーンがほとんどないし、楽曲の演奏もつながっている部分が多いので、切りようがないのだと思う。
画質は1985年当時だとNTSCのアナログビデオ収録になるが、Blu-rayへのアップコンバートで思ったほど画質は悪くない。もちろん解像度は荒いし、コントラストも飛んだり黒が沈まなかったり、色の鮮やかさに欠けるところなどいろいろあるが、記録ビデオというよりは楽しめる映像にはなっていると思う。
音質もPCMの2chステレオで、96kHz/24bitのハイレゾ収録と、当時のアナログ磁気テープからは信じられないハイスペックでの音質になっている。音の洪水に飲み込まれるという感じで、ライブそのものが楽しめるようになっていた。
2019年にリリースされてから、断続的に見てきたTM NETWORKのEPIC SONY時代のライブビデオだが、これでようやく完結し、ホッとしている。「見なきゃ」とは思いつつ、他にも見たい作品(主に映画)が多く積まれている状態なので、気分が向くのを待っていた感はある。今週、ニューアルバムの「DEVOTION」を聴いてTM熱が再燃したので、残されたこのビデオを見たのだが、楽しいひと時を過ごせたと思う。
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