映画「ザ・キラー」(Apple TV 4K/Netflix/DOLBY VISION)

レビューの詳細は、ザ・キラー(DOLBY VISION/Netflix)|Apple TVで観た映画のレビューを参照のこと。

この映画の監督であるデヴィッド・フィンチャーといえば、「セブン」などで知られる監督であり、僕も気になる監督である。フィンチャーが「MANK/マンク」に引き続きNetflixでオリジナル映画を制作した、それもサスペンスということで期待して見たのだが、水準並みの出来かな、と感じた作品である。

暗殺者の話なので派手なアクションを期待したのだが、それは皆無であり、地味なサスペンスがずっと続くので、ある意味期待外れな部分はある。ただ、地味な話なのに面白い、と感じる部分もあり、それは主人公の暗殺者がどこまで行っても冷静な点であるところに尽きると言える。

暗殺者は自身に標的を暗殺する際の極意を言い聞かせていて、「感情移入するな」とか暗示をかけているので、そのキャラ設定が面白いと感じた。ただ、本当に感情移入できないキャラなので、観客としては突き放された気分で鑑賞せざるを得なくなっている。

物語は要人暗殺に失敗した暗殺者が依頼人から付け狙われるため、逆襲するという話であり、暗殺者が同業他人の暗殺者と殺し合いを行う展開だが、派手なアクションはほぼなく、静かに殺人が行われるため、その部分に期待した観客は期待外れになる。僕はその面も含めて想定外の展開で面白いと思ったが。

映像は4K/DOLBY VISIONで配信されていて、映像の精細感や色彩表現は魅力的である。色彩表現は映画冒頭はHDRではなくSDRではないか、と感じたぐらいだが、物語が進むにつれ、DOLBY VISIONの効果は出てくるので一定の評価はしている。

音響はDOLBY DIGITAL 5.1chにとどまっているが、サラウンド効果は抜群である。冒頭からBGMがサラウンドチャンネルで鳴り響くし、効果音も視聴者の周囲を見事に取り囲む形で音が出ているので臨場感がある。DOLBY ATMOSでミックスされていないのが残念なぐらいである。

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