スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド シーズン1第6話「苦しみの届かぬ高さまで」(Paramount+/WOWOWオンデマンド)

あらすじ

エンタープライズはマジャラン星系を訪れていた。パイクにとっては何年かぶりの再訪になった。エンタープライズ艦内ではラアンがウフーラに保安任務の教育を施していた。

マジャラス星に近づいたエンタープライズは、非連邦のクルーザーが救難信号を出していて、他の船から攻撃を受けていることを知った。他の船はエンタープライズにも攻撃を仕掛けたため、エンタープライズも非連邦加盟の星の船と知っても連邦の規約上反撃をする。

攻撃を仕掛けた他の船はエンタープライズの攻撃を受け、星に墜落する。そして、救難信号を出していたクルーザーの乗員を転送で救助する。その乗員の一人は、かつてパイクが愛した女性アローラだった。他の乗員は子供とその生物学上の父親だった。

なぜ、アローラや子供が乗船する船を襲ったのかをエンタープライズは調査する。子供は第一奉仕者と呼ばれていて、体の怪我に対して周囲は妙に気にしていた。エンタープライズの医療室では第一奉仕者の治療をしようとするが、生物学上の父親がそれを拒否し、自らの手で治療してしまう。

墜落した船を調査していたエンタープライズは、第一奉仕者に仕える者が裏切りを図り、第一奉仕者を誘拐しようとしていたことを知り、第一奉仕者がなんの役に立つのかを調べ始めた。

その頃、パイクとアローラは恋が再燃し、愛し合っていたが、パイクもマジャラス星の風習に疑問を持っていた。そして、ウフーラの活躍によりマジャラスの風習が明らかになるにつれ、悍ましい事実が明らかになっていく。

感想

物語は、マジャラス星に残る風習の謎解きと、パイクとマジャラス星に住む大臣のアローラとの恋の再燃を描いた作品であるが、テーマは結構重たい。マジャラス星に伝わる風習が、星を生き延びさせるためとはいえ、かなり悍ましいものであり、到底連邦側の考え、と見ている視聴者にとっても理解し難い風習になっているからである。

これはドラマの中だけでもなく、現代の世界の抱える問題にも一石を投じる内容になっていると思う。相互理解ができない世界においての一方的な風習を守ろうとする勢力とそれに反対する勢力の争いを描いたようなものであるからである。

その一方でパイクとアローラのラブストーリーも描かれているが、ラストはかなり重たい。二人の愛情がマジャラスの風習によって塵と化しているからである。正確にはパイクが一方的に愛情が冷めていっている感じすら覚える。

マジャラスの医療の進化はエンタープライズのドクターであるムベンガをも感心させるものであり、彼の難病を抱えた娘を救うかもしれない治療法をめぐって、ムベンガの親の愛も描かれていて、サブストーリーとしても重たいテーマである。

もう一つのサブストーリーが、ラアンのウフーラに対する保安訓練であり、それが物語の要所要所で登場するのは、面白い展開だが、物語全体が重いので、この保安訓練そのものも重たい内容になってしまっている。

総じて、相互理解できない世界の抱える問題に対して一石を投じたストーリーだと思う。

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