先日、文化放送をradikoで聴いていた際、番組に山崎雅弘さんがゲスト出演されていた。興味深い話が多く、そこで紹介されていた彼の著書「底が抜けた国」を読もうと決意した。
山崎雅弘さんは、僕のX(旧Twitter)のタイムラインでも頻繁に目にする方で、その見解には共感できる部分が多い。Xのアルゴリズムの特性上、自分と思想が近い人々の投稿が表示されやすいということを差し引いても、彼の意見はしばしば的を射ていると感じる。
彼が「底が抜けた国」の話をしていたのをきっかけに、楽天市場で早速注文し、先週の日曜日に手元に届いた。その後すぐに読み始め、興味深い内容に引き込まれ、仕事の合間にもページをめくるほど熱中してしまった。
本書では、「平和国家を捨てて戦争に走る自民党」「倫理観を失い悪人がのさばる社会」「従順にお上に従い続ける国民」の三つのテーマについて、太平洋戦争前後の書物や新聞記事などの事例を引きながら、現在の日本社会との類似点を浮き彫りにしている。著者自身の主張を前面に出すことは控え、読者に自ら考えさせるような構成が印象的である。
そのため、安易な解決策を期待してこの本を手に取った読者は失望するかもしれない。本書の主題は、解決策を提示することではなく、「それを考えるのは市民自身の務めである」というメッセージにあるからだ。
さらに、この本にはもう一つの特徴がある。それは、未来への記録としての側面だ。50年後の日本人が本書を読んだとき、「50年前の市民が何もしなかった結果、こんな状況になった」と批判される証拠となることを、著者は意図しているように思える。
正直なところ、僕自身もここ数年の日本の状況について、このブログで時折意見を発信してきたつもりだ。政府や権力者に対して批判的な視点を持ち続けているが、それを継続的に発信しているかというと、そうではない。どこか諦めにも似た感情が心をよぎることもある。それでも、「このままではいけない」という焦りは常に心の奥底にあった。Change.orgでの署名活動や国会議事堂前のデモに参加してきたのも、その焦りの表れだと思う。
しかし、現状を見ると、底が抜けたようなこの国が立ち直る可能性は日に日に薄れていると感じる。マスメディアの自浄能力の欠如や、X上での根拠のない意見に安易に同調する人々の多さには絶望的な気持ちになる。それでも、何か行動を起こさなければならない、という思いを新たにしたのが、この「底が抜けた国」を読んだことで得られた最大の収穫だ。
今の日本人にとって、本書の内容には賛否両論あるだろう。しかし、自分の信念を固め、行動の指針を見つけるためには必読の一冊だと強く思う。
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