
マーベル・シネマティック・ユニバースのフェイズ6の最初の作品は、この「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」である。2025年夏の期待作である。
「ファンタスティック4」は過去にも何回か実写映画化されている。かつて独立した映画会社であった20世紀フォックスが実写映画化していたのであるが、思ったほどにはヒットしなかったように思う。20世紀フォックスがディズニーに買収されたことで、同じくディズニー傘下のマーベル・スタジオが実写映画化権を持つことになり、満を持してマーベル・シネマティック・ユニバースの1作品として制作、公開されたのである。
作品内容は、今までのマーベルのスーパーヒーロー物の時系列とは別の時系列に存在するスーパーヒーロー、ファンタスティック4の活躍を描いたものになっている。時系列が異なるので、今までのマーベルのスーパーヒーロー物とは全く無関係な内容になっている。だから、予備知識が全くない人や、マーベルの映画を過去見ていて脱落した人でも、この「ファンタスティック4」は楽しめる。他の作品との関連性が全くないので、この作品だけ独立した内容になっているからである。ただし、エンドクレジット中のおまけ映像では、来年公開の「アベンジャーズ/ドゥームズデイ」の予告する映像が流れる。
物語は普通の宇宙飛行士が宇宙で異変に巻き込まれ、超能力を得てしまい、地球の平和を守るファンタスティック4として活躍していたのであるが、メンバーの一人スーが子供を宿していることがわかる。そこに、遥か彼方の宇宙からシルバー・サーファーが地球にやってきて、ギャラクタスが地球を滅ぼす、と警告を発する。そのギャラクタスを食い止めるべく、ファンタスティック4が活躍するのだが、ギャラクタスはスーの宿した子供を我が物にしようと狙っていた、というものである。
ヒーロー物だが、ファンタスティック4が自身の能力をフルに使うシーンは少ない。逆に明るい展開で「家族愛」を前面に打ち出した展開は、心打たれるものがある。ファンタスティック4のメンバーのうち、リードとスーは夫婦だし、ジョニーはスーの弟という関係がある。ベンだけは友人関係ではあるものの、この4人の絆は固いところが見どころであり、敵であるシルバー・サーファーにもその家族愛の問題があることは後々わかってくる。
マーベル・シネマティック・ユニバースの作品はどれもIMAXシーンをふんだんに盛り込む傾向にあるが、「ファンタスティック4」は、全編IMAXシーンで構成されている。それどころか、IMAXレーザーGTでは、ギャラクタス登場シーン限定だが1.43:1のシーンが存在しているので、この作品はIMAXレーザーGT案件の作品として話題になってもいいと感じる。
マーベル映画を見ていない人や、脱落した人にも非常に優しいこの「ファンタスティック4」であるので、できれば映画好きな人には見てもらいたいが、劇場では「鬼滅の刃」など邦画優勢の状況下にあるので、今週末に見なければ、見られるチャンスは限定されるだろう。
尚、IMAXのカウントダウンレリーラーは「ファンタスティック4」仕様に変更されているので、映画が始まる前から盛り上がることは請け合いである。
「ファンタスティック4」とは関係ないが、年末の「アバター:アッシュ&ファイアー」と来年の「オデュッセイア」の予告編も見られるので、IMAXファンには嬉しいのではないかと思う。