スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド シーズン3第10話「新たな生命、新たな文明」(Paramount+/Amazon Prime Video)

あらすじ

コービー博士は、スカイゴワンという惑星で、ヴァディア9号星で起きたことの調査をしていた。そこにはコービー博士が入ることのできない扉があった。そして、スカイゴワンでは、謎めいた人物が民衆を支配していた。

エンタープライズでは、バテル艦長の任務復帰が決まった。喜ぶバテルとパイク艦長だった。エンタープライズではメンテナンスを行うことになり、医療室の転送バッファをチェックしていたところ、何者かの転送情報が残っていた。その情報を復元したところ、ヴァディア9号星の任務で、悪の存在であるヴェスダに体を乗っ取られた挙句に命を落としたギャンブルの肉体だった。スカイゴワンで民衆を支配していたのも、ヴェスダに乗っ取られたギャンブルそのものだった。

そのことを知ったエンタープライズはスカイゴワンに進路を向け、上陸班を送り込む。扉にはスワヒリ語が書いてあって、上陸班に加わったムベンガが自分のことを書いている、と告げる。そこにギャンブルが現れ、ムベンガと共に扉を開放してヴァディア9号星に行ってしまう。

なすすべもない上陸班はエンタープライズに帰任する。その頃、バテルの体に異変が起きていた。チャペルの検査の結果、ヴァディア9号星でヴェスダを封じ込めていた守護神とバテルは同一化していた。バテルがゴーンに襲われ幼体を体の中に宿してしまったことと、その治療のためにイリリア人の血を入れたことなどが関係していて、複数の異星人のDNAに流れる悪との戦いの記憶をバテルは呼び出してしまったようである。バテルはヴェスダを食い止めるため、スカイゴワンの扉からヴァディア9号星に行くことになるが、そのためには連邦の船2隻分のフェイザーを寸分の狂いもなく、扉に集中させる必要があった。

そのため、パイクはファラガットのカークを呼び出し、ファラガットのフェイザーとエンタープライズのフェイザーを重ねあわせて、扉を開けようと画策する。寸分の狂いもない操作が必要なので、スポックはカークと精神融合を果たす。

その結果扉は開いて、バテルとパイクはヴァディア9号星に移動する。そして、ヴェスダを食い止めようとするのだが、パイクとバテルの間には二人が結婚をして、その後の人生を幸せに暮らしているという記憶が刻み込まれる。

感想

シーズン3の最終回は、なんと第5話で描かれたヴァディア9号星と悪のエネルギー体ヴェスダとの戦いを描いたものになっている。だから第5話で死んだはずのギャンブルが復活してくるのは意外である。赤シャツ隊員みたいに死んだと思っていたのだが。

そして、話は相当複雑である。バテル艦長がシーズン3冒頭でゴーンにやられて幼体を体の中に宿したことや、その治療のためにいろいろなことをしたという話はしばしば描かれてきていたが、それが最終回である本エピソードで意味をなしているための前振りになっていたことが驚きである。

バテル艦長が最終的にはヴェスダを封印するための守護神となってヴァディア9号星にとどまるのも意外だが、ヴェスダとの戦いの前に、パイクと幸せな結婚生活を送っていた、という記憶を残していたのも予想外の展開で意表をつかれた。バテル自身が今後のシーズンに登場することはないのは残念ではある。恋人であったパイクにとっても大きな痛手ではないだろうか。

また、最終回ではカークが再登場し、任務のためにスポックと精神融合をするところは、「宇宙大作戦」への前振り的展開で、なかなか面白い。いよいよシーズン4、そして最終シーズンである5に向けて動き出した感はある。

シーズン3はAmazon Prime Video内のParamount+チャンネルでは、前半は2chステレオだけの配信だったり、サブタイトルが表示されないなど、不具合も多かったが、後半は比較的安定して5.1chのサラウンドが展開され、物語の面白さを強化する仕掛けになっていた。最終回も5.1chの効果は抜群で、音による物語への効果は存分に出ていると思う。

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