

去年から期待していたクリストファー・ノーラン監督の新作「オデュッセイア」を9月5日の8:20の回を池袋のグランドシネマサンシャインのIMAXレーザーGTシアターで見てきた。9月4日からIMAXシアターのみ先行上映を行なっており、水曜日の晩、苦労しながら9月5日の朝8:20からの回を確保していた。
この映画はハリウッドのドラマ性を持った映画としては史上初の全カットIMAXフィルムのみで撮影、編集された作品である。ドキュメンタリー映画だと全カットIMAXフィルムという作品は多いが、劇映画としては初めてなので、話題性十分である。しかも上映時間は172分とかなり長い。実際映画を見て、全カット1.43:1のアスペクト比で上映される作品は圧倒的没入感を観客にもたらす。デジタルの映画館でここまで見られるとIMAXフィルム版で見たくなるが、日本にはIMAXフィルム上映館はもうないし、一番近くてオーストラリアのメルボルンまで行かないとIMAXフィルム上映館はないので、日本でIMAXフィルムに近い状態で映画を見られるのはグランドシネマサンシャインと大阪の109シネマズエキスポシティのみである。
映画はホメロスの同名の叙事詩を原作にしている。残念ながら、僕は叙事詩はまだ読んでいないので、映画は物語に初めて触れたことになるが、テーマとしては、神と人との関わり、トロイア戦争に参戦した王、オデュッセウスが長い年月をかけて家に戻る困難さ、オデュッセウスがいない国における乱れ、といったものが描かれている。ノーラン監督の常として時系列を混ぜているので、序盤は物語がわかりづらいし、テンポもスローである。しかし、中盤から後半にかけて序盤で提示したテーマが徐々に明らかにされていくので、後半に行くにつれて爽快感が高まってくる。
総じて、神との契りを破った人がこれからどう新しい世界を生きていくのか、というのが大きなテーマのように感じた。もちろん、オデュッセウスの長い年月をかけての家への帰還ができるのか? というテーマもメインではあるし、主人不在のまま残された家族の思いは、というテーマもある。
映画を見ていて昔の本の映画化ということもあってか、サブテキストが必要と感じた。何も知らないでも十分楽しめるのだが、映画のパンフレットや原作本を復習がてら手に入れたほうがいいと思う。グランドシネマサンシャインではパンフレットもグッズも公開2日目にして在庫切れだったので、本屋で岩波書店の「オデュッセイア」上下巻を買い求めた次第である。
音響はノーラン監督は頑なにオブジェクト・オーディオを扱おうとはしないので、5.1ch、IMAXだと6chのサラウンドのみであるが、今作も低音の響きが凄まじいので、不満は全くない。
なお、ノーラン監督の前作「オッペンハイマー」に引き続き、配給はビターズ・エンドが担当している。ユニバーサル・ピクチャーズの映画の日本配給は第一候補として東宝東和になるのだが、「オッペンハイマー」の時に逃げているので、「オッペンハイマー」の配給に手を挙げ、日本公開を成功させたビターズ・エンドが今回も担当になってむしろ良かったと思っている。誠実な宣伝をしていたと思う。
今年見た映画の中で今の所ベスト1になる作品だと思うし、機会があればもう1回はIMAXレーザーGTで観たくなる作品である。
