映画「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(Apple TV 4K/Netflix/DOLBY VISION)

 レビューの詳細は、パワー・オブ・ザ・ドッグ(DOLBY VISION/Netflix)/Apple TVで観た映画のレビューを参照のこと。今、人気の俳優ベネディクト・カンバーバッチを主役に持ってきた人間ドラマが、この「パワー・オブ・ザ・ドッグ」である。1925年のモンタナを舞台に、ベネディクト・カンバーバッチが演じるフィルという牧場主とその弟ジョージ、ジョージと結婚することになる宿屋の女主人ローズ、ローズの息子であるピーターとの愛憎関係を描いたものになっている。愛憎関係と書いてはあるが、フィルはジョージやローズに対してはいじめを仕掛けているので、憎悪の方が強い感じはする。それに対してピーターに対しては、牧場主であることについて教えを施していくので、愛情の方が強いのかもしれない。ピーターに対する愛情は、フィルのホモセクシャルな嗜好と関係あるのかもしれない。フィルがホモセクシャルであるという明確な描写があるわけではないが、台詞や態度からそう感じる部分ではある。一方でピーターはフィルに対して良い思いをしているわけでもなく、彼に対しては複雑な思いを抱いている。それがラストにつながっていると思う。物語は結構淡々としていて、雄大な大自然とそれに対してちっぽけな人間の愛の営みを描いているのが、物語を印象付けるものになっている。映像は4K/DOLBY VISIONで収録され、まるで実物をガラス越しに見ているかのようなリアリティのある映像が堪能できる。音響はDOLBY ATMOSで収録され、登場人物のセリフや物音が画面の配置とリンクして前後左右上下に登場し、リアリティを高める効果を発揮している。Netflixのオリジナル映画は出来が悪い映画が多いが、この作品は出来が良く、見る価値のある作品だと思う。

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