下川裕治著「5万4千円でアジア大横断」朝日文庫

 この本は、今年の春に朝日文庫から新刊として出版されたが、実は2007年に新潮文庫から出版されているものと、内容は大体同じである。5万4千円でアジアハイウェイに沿って、バスの旅を日本は東京からトルコのカピクレまで旅した紀行物である。その旅行を行ったのは2005年から2006年にかけてという話なので、話は古い。それがわかっているからか、各国の旅の最後に最新情報を載せる文書が掲載されていて、時代の風化を防ぐ目論見がなされている。僕は結構下川裕治の著作物を読むのが好きで、この本も本屋で目に止まり、購入したのだが、貧乏旅行の達人とも呼ばれる下川裕治の旅物は、普通の感覚では絶対にやらないだろうという旅を行なってしまい、本人もそれを苦にしながらも旅を続けていくところに面白みがあると言える。今回は、アジアハイウェイと呼ばれる道路網に沿って日本からトルコまでの旅を記した物語になっているが、その困難さというか、そんな発想誰もしないだろう、という視点のずれとかが面白みを増しているところである。現在、新型コロナウイルスの感染拡大のために海外旅行など普通の人はできないので、こういう旅物の本を読むのは、心の癒しになる。海外旅行に行けない人には、恵の本になるのではないかと思う。

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