下川裕治著「「裏国境」突破 東南アジア一周大作戦」新潮文庫

タイを中心にアジアに詳しい下川裕治の新作著作。今回はタイからその周辺の国への陸路を使っての国境突破の話である。しかも国境といってもメジャーな通りではなく、最近通過が許可された通路についての国境突破なのだから、かなりの困難が待ち受けている旅行記になっている。インターネットや各国の領事館を探しても、国境を突破できるかどうかが分からない。とにかく行ってみないと分からない、不安が残る挑戦になっているのである。その旅の顛末は、かなり大変なものである。しかも後半はバスの事故により、下川裕治自身が大怪我を負ってしまい、旅を続けるのが厳しいという二重の苦労が待っていた。それを読む度に、アジアの各国の考え方の違いが明確になってくる仕組みになっている。下川裕治も60歳と還暦を迎えているにもかかわらず、相変わらず旅行作家として厳しい旅を続けているのを読むと、感心してしまう。旅行に行きたい者としては、興味深い本である。

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