映画「マイマイ新子と千年の魔法」(Netflix)

「この世界の片隅に」で高い評価を受けている片渕須直監督が、この作品の前に制作、公開したのが「マイマイ新子と千年の魔法」である。舞台は戦後高度成長期に入る前の山口県防府市。新子は活発な少女であると同時に、祖父から聞いた話を元に千年前の人々の暮らしを空想するのが好きだった。そんな新子のクラスに東京から貴伊子という少女が転校してくる。最初は周囲に溶け込めなかった貴伊子であるが、誰とも親しくなれる新子によって、次第に周囲に溶け込んでいく。新子とその友達たちは、様々な遊びをして、日々の生活をしていくが、次第に事件が起こり、事態は一変していく、というストーリーである。戦後からしばらく経った防府市の世界を片渕須直監督は、丹念に描いていて、「この世界の片隅に」同様、映画の世界観を形作るのに成功している。新子と貴伊子の交流がじっくり描かれているので、その交友関係が心にしみる展開になっている。そして、新子の空想する千年前の人々の暮らしも、貴伊子によってさらなる成功を収める結果になっていて、千年前と現代がうまく結びつく結果になっている。今回、Netflixでのストリーミング配信で鑑賞したが、色彩設計や解像度はまずまずである。色の再現性にストリーミングによる帯域の制限があるせいか、きつい部分もある。音響はDOLBY DIGITAL 5.1chを5.1.2chで再生したが、サラウンドの効果は抜群で、田舎の生活感がよく現れた効果を出している。「この世界の片隅に」を見た人には是非オススメしたい作品である。

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