アーネスト・クライン著「ゲームウォーズ(上)」SB文庫

今年の春にワーナー・ブラザース映画から「レディ・プレイヤー・ワン」というタイトルでスティーヴン・スピルバーグが監督する映画の原作小説がこの「ゲーム・ウォーズ」である。原題は「Ready Player One」で映画のタイトルと同じである。今回は上下巻のうち上巻を読破したが、設定は2045年のアメリカになっている。その世界では戦争や人口増加による飢餓など市民の多くが難民になっており、仮想空間「オアシス」に逃げ込む人が多かった。仮想空間「オアシス」は、ハリデーという男が作り上げたもので、彼はまるで現代のスティーブ・ジョブズのように崇め奉られている。そのハリデーは死去する際に3つの鍵をオアシス内部に隠して、それを最初に発見したものに「オアシス」の管理権と多額の報酬を与えるというイースター・エッグを付与している。主人公は若いウェイドという男性で、彼がそのイースター・エッグを見つけるための冒険をするという話になっている。展開そのものはロールプレイング・ゲームに近いストーリーであるが、この作品を特徴付けているものは1980年代を中心にしたサブカルチャーへの異常とも言える敬愛であり、それが物語を特徴付けているものになっている。上巻では、ウェイドが3つの鍵のうち一つを見つけ出し、一躍有名になると同時に命をも狙われる立場になるというものである。そして、彼の初恋も同時に描かれる。現実世界では孤独なウェイドが仮想空間では有名人になるという設定がコントラストをなしていると言える。下巻もどのような展開がくるか、楽しみである。

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