仲村清司著「本音で語る沖縄史」新潮文庫

沖縄在住の仲村清司氏が、沖縄の歴史をたどり、沖縄が現在置かれている問題について真相を追究したのが、この「本音で語る沖縄史」である。沖縄好きの僕としては、沖縄の歴史を学ぶ場として興味深く読ませていただいたが、その沖縄の抱える問題は、過去の歴史からも垣間見えてくるということがわかる。沖縄という小国が生き延びるには、大国と依存する関係にならざるをえず、その大国の思惑に翻弄され続ける歴史の連続であると言える。本書では、日本でいう戦国時代から江戸時代近辺の内容が濃い展開になっているが、それは沖縄が琉球王朝を抱き、おおいに繁栄を極めたとともに、日本の薩摩に侵攻され、日本の族国になってしまった経緯があるからだと思う。そして、その関係は今も沖縄に関わるスタンスであることから、内容が濃いのだと思う。太平洋戦争後の戦後史も割とページを割かれているが、それは現在につながる問題の発端であることから、どうしても書かざるを得ない状況にあると言える。ここ最近の仲村清司氏の沖縄に関する書籍は、自身が沖縄に移り住んで20年に及ぶ生活の中で、沖縄に疲れてしまった様子がうかがえるが、本書のその様子が垣間見える。そういう意味では、かつての楽しい沖縄から一歩身を引いた感じの漂う作品だと思う。

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