この新書はなかなか変わっている。「機動戦士ガンダム」に出てくる人物や組織を現在の世界の国家や人物に当てはめることで、「ガンダム」の世界観と、現実の世界観を分かりやすく解説したものだからである。それを行うことで、ジオンの国家としてのあり方や、ジオンの総帥ギレンの立場、連邦の組織としての駄目さ加減などが現実の国家である日本やアメリカ、ヒットラーからケネディ大統領まで、うまくリンクして説明を行っているところが面白い。「ガンダム」好きならば、こういう現実世界を理解するのに架空の世界を説明することで、理解がしやすいと言える。まあそういうことが出来るのも「機動戦士ガンダム」の世界観が広がって、「ファースト・ガンダム」のみならずそのサイドエピソード、「機動戦士Zガンダム」、「機動戦士ガンダムZZ」、「逆襲のシャア」まで巻き込んでの世界観を構築出来ているから可能なことであると言える。「ガンダム」自体が当初の目論見を外れて、広大な世界観を持ったアニメになってしまったから出来る本であり、その辺は勘案して読む必要はあると思う。でも、書き方としては読みやすいので、混沌とする現実世界を理解するには取っ付きやすい本と言えるのではないだろうか。
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