堤幸彦×佐野元春「コヨーテ、海へ」

佐野元春デビュー30周年を記念して、数々のドラマ、映画を手がけてきた堤幸彦が、佐野元春のアルバム「COYOTE」にインスパイアを受けて生み出されたロードムービー。北村という中年男が一人、ある目的を持ってブラジルを放浪する姿と、その父の失踪の謎を知りたくて、かつて父が影響を受けていたビート・ジェネレーションを探す旅に出たハルと、そのガイド役を買って出るデイジーの旅を交互に描き出しながら、ビートとは何なのかを分かりやすく紹介した作品になっている。物語の後半になるまで佐野史郎扮する北村が、なぜブラジルを放浪することになるのかが語られないが、それはかつて北村が影響を受けていたビートを再発見するための旅として語られようと思う。それに対し、ハルの方は父が何に影響を受けていたのかを確認するための旅であり、父を知るための旅であったと思う。登場人物は結構少ないが、現地の方々のアドリブとも言える演技により、そのロードムービーとしてのインパクトはかなりあると思う。また、佐野元春のアルバム「COYOTE」収録曲が随所に差込められ、元々架空の映画のサウンドトラックとしての位置づけであるアルバム「COYOTE」の印象を強める仕掛けもしてあると思う。その佐野元春が物語後半に医者の役で1シーンだけ登場し、演技をしているのもファンとしては見所である。本作品の初公開は2011年1月3日で、その時はWOWOWのハイビジョン映像だったが、今回はDVDによるSD画質での視聴となり、多少インパクトは劣る。ただ、キヤノンのEOSで撮影された映像は、ライブ感はたっぷりあると思う。

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