映画「佐野元春/Film No Damage」

今から30年前の1983年に全国の公会堂やホールで公開されたまま、その行方が分からなかった佐野元春の初期のライブ・ドキュメンタリーがこの「佐野元春/Film No Damage」である。2010年頃にはそのフィルムの所在は明らかになっていたらしいが(それはユーキャンの佐野元春全集の宣伝でも明らか)、当時の16mmフィルムとマスター音源をデジタルリマスタリングして、映像と音響をブラッシュアップしたものがこのたび2週間(一部では1週間)の期間限定で劇場公開に至った。収録の音源としては、ビデオ「Truth’80-’84」や、「Live Anthology」に収録されている曲目と大差ないが、デジタルリマスタリングされた映像は、大画面でも耐えうる画質に向上しているし、5.1chにリミックスされた音響は、その広がり感、ダイナミックレンジの拡大が半端ない。また、ビデオには収録されていないバックステージや、ジョン・レノンのパロディなどは当然ほとんどのファンが観たことないはずなので、その価値は計り知れない。初期佐野元春の熱狂的なステージが30年経っても興奮を引き起こすことに、強い感動を覚える。音楽ドキュメンタリーとしてもいい出来ではないかと思う。

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