スター・トレック ヴォイジャー 第91話「700年後の目撃者」

キリアンの歴史資料館では、キリアンとヴァスカンの紛争の過程が展示されていた。その中でも大きな位置を占めていたのがヴォイジャーだった。ヴァスカンと手を組んだヴォイジャーはキリアンを大虐殺したというものであった。しかし遺跡からバッファ回路が出土し、ドクターが再生されると、その歴史に異を唱える様になる。そしてそれをきっかけに再びキリアンとヴァスカンの間に緊張が走るようになる。歴史館館長とドクターは必死で正しい物の見方を伝えようとする。

傑作エピソードであるこの話は、歴史というものがいかに歪曲されて伝えられるかを物語っているかを雄弁に示している。そしてラストのその歴史を乗り越えた種族同士の融和に至る過程がいかに大切かを表しているといえよう。キリアンが歴史として復元してきたヴォイジャーとそのクルーたちがとてつもない悪党だという設定には普段見られないキャラの個性が現れていて、それはそれで面白いが、実際の連邦ではありえない話しなので、ドクターがどうそれを説得するかが物語のキーとなっている。ホログラムのドクターとしては実際の事件から700年経って復活してきたわけだが、その間の歴史観を覆すのは大変だったと思う。それをやり遂げたらしいので、スター・トレックらしい終わり方になっていると思う。