佐野元春著「ザ・ソングライターズ」スイッチ・パブリッシング

 佐野元春ファンならば、今も読んでいるか、すでに読み終わった方もおられるかもしれないが、スイッチ・パブリッシングから2022年3月21日に発刊された佐野元春の「ザ・ソングライターズ」を今日、読み終えたので、その感想を書きたい。まず、この本の値段の高さと、それに見合うだけのページ数には圧巻される想いである。価格は5280円と単行本としてもかなり高額だし、ページ数も853ページとちょっとした辞典並みの分量には、頭がくらくらする想いである。元々は今から13年前にNHK Eテレで週末の夜に30分番組として放映されていた「佐野元春のザ・ソングライターズ」を、ビデオ発売するのではなく、文字起こしをして書籍にするというだけで、この「ザ・ソングライターズ」にかける思いが垣間見れる。テレビではスーッと流してしまうような佐野元春とミュージシャン、作詞家たちとのやりとりが、文章で読む行為をすることで、より明確になった気がしている。放送では4シーズン23名のミュージシャンや作詞家たちとのやりとりを様々なワークショップも含めていたが、書籍化にあたり、佐野元春とミュージシャン、作詞家たちとのやりとりの部分だけを抽出したことで、どのミュージシャンや作詞家がどのように作詞をしていくのかが、より明確になったと思う。それにしても今やお茶の間の人気者になってしまった星野源あたりをゲストに呼ぶところなど、佐野元春に先見の明があったとしか言いようがない。書籍化にあたり、元春レイディオ・ショーでゲストに招いた大瀧詠一とのやりとりも「ザ・ソングライターズ」の一部として含めており、それに最後に佐野元春個人の見解も含めているので、計25名のミュージシャン、作詞家とのやりとりになっている。とにかく読み応えのある書籍で、読んでいて楽しい内容になっている。佐野元春ファンじゃなくても、作詞をするという行為に興味のある人は、一読を勧めたい内容の作品である。

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