藤井誠二著「沖縄の街で暮らして教わったたくさんのことがら 「内地」との二拠点生活日記」論創社

ノンフィクションライターの藤井誠二が、東京と沖縄の二拠点を生活の場にして、仕事や生活を繰り広げる様を日記にして書き記したのが、この「沖縄の街で暮らして教わったたくさんのことがら 「内地」との二拠点生活日記」である。元々はインターネットで発信していた日記ではあるが、一定の読者を得ていたらしく、この度2018年から2020年までの日記を書籍化している。

僕が藤井誠司というノンフィクションライターを知ったのは、仲村清司や普久原朝充との共著である「沖縄 オトナの社会見学 R18」や「肉の王国」と言った沖縄文化に触れた書籍を読んだことに始まる。これらの本で藤井誠二を知り、彼が書いた大作「沖縄アンダーグラウンド」で、沖縄の売春街、真栄原の存在について知ったことから、藤井誠二に関心を持っていたのである。

藤井誠二がインターネットでこの書籍の元になった日記を時々は読んでいたが、最初からではないので、今回書籍版を購入して読んでみた。読んで初めてわかったのだが、藤井誠二自身も沖縄病にかかり、それで沖縄で生活したいという希望を持っていたことから沖縄に住居を構え、東京と沖縄の二拠点生活を始めているのであるが、結構その生活も長くなっているようである。書籍では、沖縄での食生活や知人、友人との邂逅の話に加え、「沖縄アンダーグラウンド」についての深い説明、沖縄が抱えている問題についての藤井誠二なりの見解が記され、ただの日記になっていないところがポイントである。

もちろん、タイトル通り日記がメインなので、藤井誠二が夜な夜な通う居酒屋や食堂についての話は、読んでいて食べたくなってくるし、藤井誠二が途中病気を発症して生命の危機に陥るところなどは、読者ながら心配になってくる。そういう意味では、面識はないものの、知った著名人のブログを読んでいるかのような感覚を感じさせてくれる物になっていると思う。

書籍はメジャーではない出版社からの出版であるということと、日記自体は今でも双葉社の「タビリスタ」というサイトでも継続中なので、話は途中で終わってしまっている感もあるが、沖縄に関心の或る方は、まずは「タビリスタ」のサイトを読んでみて、興味を持ったら書籍版を読むといいと思う。書籍版の日記は、「タビリスタ」のサイトには掲載されていない。別のサイトで掲載していたが、そのサイトが閉鎖されているからである。別のサイトが閉鎖された後、「タビリスタ」で継続連載しているというのが、実体である。

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