レビューの詳細は、パイナップル・ツアーズ(Amazon Prime Video)/Apple TVで観た映画のレビューを参照のこと。2022年の今年、映画制作30周年と、沖縄本土復帰50周年を記念して、この映画のデジタルリマスター版が制作され、沖縄の桜坂劇場と東京を皮切りに全国で順次再公開されている本作であるが、僕の住む福岡では上映されるという話は聞いたことがなかった。パイナップル・ツアーズの公式サイトによると、どうも九州では大分の日田でしか上映されていないようで、残念ながらデジタルリマスター版での鑑賞は叶っていない。なので、Amazon Prime Videoで配信されている旧バージョンで鑑賞をしたのだが、この映画は昔、レーザーディスクのコレクションをしている時に多分コレクションをして見たのではないかと思っている。見たという印象だけは強く残っているのだが、ストーリー等はほぼ忘れていた。
先日の沖縄1泊2日旅行以降、久しぶりに沖縄病を再発してしまい、何かに取り憑かれたかのように沖縄に関する映画や音楽、本を見たり聞いたり読んだりしていたのであるが、沖縄病を再発した身としては、やはり劇場公開30周年を迎えた「パイナップル・ツアーズ」を見直す良いチャンスだと思っていた。また、やちむんの「一生売れない心の準備はできてるか」のライブ映画を見て、その監督が「パイナップル・ツアーズ」の「爆弾小僧」というエピソードを監督した當間早志だったことも、見直さなきゃと思った要因の一つである。
改めて「パイナップル・ツアーズ」を見直したわけだが、ストーリーはほぼ忘れていたこともあり、新鮮な印象で映画は鑑賞できた。また、1992年当時では理解できなかった沖縄の文化や生活といった知識を蓄えるようになったことも、この映画を理解する手助けをしているのではないかとは思う。ストーリーはドラマ性が高いと思うのだが、コメディ的要素もあり、カラッとした雰囲気を持った映画であると思う。なぜかアメリカの映画情報サイトInternet Movie DataBase (IMDb)にも登録されていて、観客評価は6.3/10と並の出来の映画として評価されているが、沖縄病に罹っている僕から見ると、8/10ぐらいの出来ではないかと思う。観客評価も20人程度の集計なので、当てにはならないが。
Amazon Prime Videoでの画質だが、残念なことにSD画質でSDRの色調である。HD画質でのビデオマスターは作られていないようで、Blu-rayもHD配信もされていない。今回のデジタルリマスターを元にしたビデオマスターが作られれば、高画質で見られそうだが、そういう話を聞いてもいないので、自宅では当面SD画質で見るしかないようである。沖縄の雰囲気を表すのにHD画質や4K UHD画質で再現されれば、もっと目が覚める映画に化けると思うのだが、こればかりは仕方ない。
音響もモノラル音声である。ただ、それが不満かというとそうでもない。音楽監督である照屋林賢が生み出したBGMは魅力たっぷりだし、劇中で演奏される三線の音色は心地よい。デジタルリマスター版では5.1chにパワーアップしているようなので、デジタルリマスター版を見に行ける環境にある人は、映画館にでも行った方が自宅で見るよりもずっといいと思う。
沖縄は本土復帰50周年を迎えたが、さまざまな問題を抱えている。だからこそ、沖縄ブームが起きる前に作られた、沖縄を知るためのこの映画を今、鑑賞することに意義があるような気がしてならないし、見に行ける環境にある人は見に行った方がいいと思う。
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