2020年から始まったコロナ禍は、足掛け3年を経過し、未だ継続している。その中で、旅行は不要不急のものとして、市民の自粛を求められてきた。しかし、旅行作家の下川裕治にとっては、旅行が不要不急かと言われると、そうではなかった。下川裕治にとってみれば、旅行は生活の糧を得る代物だったからである。
その下川裕治が2021年のまだ旅行自粛の時期に、あえてタイのバンコクに旅行に行った顛末を描いたのが、この「コロナ禍を旅する タイ編」である。この作品に関しては、書籍での発売ではなく、Amazon Kindleでのデジタルリリースが先で、書籍を希望する人には、Kindleのデータを紙に印刷して販売するという手法をとっている。
新型コロナの感染拡大を防ぐために、各国の水際政策が顕に旅行に現れていて、旅行記というよりは、新型コロナの陰性証明をするための、隔離政策を体験した話がメインになっていて、まさに新型コロナの感染拡大をどう防いでいたかを下川裕治が身をもって体験している話になっている。
ページ数も少ないし、本の大半は隔離ホテルでの生活がメインなので、特異な内容の本になっているが、旅行自粛時期の旅行がどういうものかを知るには、興味深い内容にはなっている。下川裕治ファンの人以外にお勧めできる内容ではないと思うが、中身的には面白い。
コメント