岡本尚文編著 當間早志監修「リメンバリング オキナワ 沖縄島定点探訪」TWO VIRGINS

沖縄の戦後から日本本土復帰までに多くのアメリカ人によって撮影された写真と、その写真を撮った位置を可能な限り特定し、ほぼ同じ構図で2022年に撮影し直して比較することで、戦後沖縄の風景の何が変わり、何が変わらなかったのかを、ビジュアルで紹介したのが、この「リメンバリング オキナワ 沖縄島定点探訪」という本である。

この本が発売されることを知ったのは、Twitterの當間早志さんのツイートによるものであるが、その當間早志さんはこの本の監修を務めていて、2022年に写真を撮る際の場所の特定やアングルの特定に尽力しているどころか、一部映画館などの情報についてはキャプションも書いている。メインのキャプションは岡本尚文さんであるのだが、本土復帰前の写真と同じ構図の2022年の写真を比較することで、沖縄の何が変わって、何が変わらなかったのかが、イメージで掴めるようになっている。

那覇などの都市圏では顕著に風景が変わっていて、本土復帰前の写真からはかけ離れた景色の写真が2022年に撮られているが、那覇市以外だと意外と建物だけは昔のままという例もあり、本土復帰前の面影が残っている例も数多くある。

本土復帰前の写真の多くはアメリカ軍関係者によって撮影されたものであり、それがアメリカからの意図しない市民の様子を垣間見るものになっていたが、それが現在では貴重な写真になっている。今でもアメリカによる色々な問題を沖縄は抱えているが、この本からでもその香りは漂ってはくる。

コラムも充実していて、読み応えある。川平慈英さんのお父さんである川平朝清さんを始め、當間早志さん、普久原朝充さんなど、沖縄出身のお馴染みの面々が為になる内容のコラムを書いているので、貴重な情報が得られる。

この本は、「沖縄島探訪」シリーズの第3弾とのことだが、この本を読むと、他の2冊も読みたくなってくる。出版社であるTWO VIRGINSは、まだ歴史が浅い会社だが、この本を見る限り丁寧な本を出している印象を受ける。第1弾、第2弾を僕がいつ入手するのかは決めていないが、是非とも読みたくなってくるシリーズである。

この記事のリアクション

この追記を書いている2023年2月11日現在はまだTwitterのAPIが無料公開の状態なので、前述の記事そのものもTwitterに自動投稿されていたのであるが、前述の感想を書いたあと、監修者である當間早志さんからTwitterで連絡をいただき、「各ページにあるQRコードをスマートフォンで読み取ると、Googleストリートビューで現在の様子が見られますよ」と紹介いただいた。QRコードのことは知ってはいたが、本を読むのに精一杯で、QRコードによるGoogleストリートビューの確認はしていなかった。せっかく當間早志さんから紹介いただいたので、数ページQRコードをスマートフォンで読み込み、Googleストリートビューで写真の撮影地域の雰囲気を掴んでみた。これが結構面白い。本に掲載されている写真だけでなく、その地点の周囲の様子がよくわかるので、本に掲載されている写真の風景の補完に十分になる仕掛けになっている。本を読んで関心ある方は、QRコードを読み取ってGoogleストリートビューで撮影地点の現在の風景を確認するのもまた楽しいと思う。

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