レビューの詳細は、THE BIG BOSS:THE MANDARIN CUT(4K UHD Blu-ray UK)|ドラゴン危機一発:ザ・マンダリン・カット|輸入盤DVDで観た映画のレビューを参照のこと。
2023年7月にイギリスのArrow Videoからリリースされた4K UHD Blu-rayの豪華BOXセットである「BRUCE LEE at GOLDEN HARVEST」の中の目玉映像の一つが、この「ドラゴン危機一発:ザ・マンダリン・カット」ではないかと思う。このタイトルは公式日本語タイトルではないので僕が勝手に名付けているのだが、Arrow Videoでのタイトルも「THE BIG BOSS:THE MANDARIN CUT」なので、単なる直訳である。目玉なのは、1983年に「ドラゴン危機一発」がホームビデオとして登場してからビデオメディアの世代が交代しても、ずっと上映時間は100分のままだったのだが、この「ドラゴン危機一発:ザ・マンダリン・カット」は1971年に香港で初公開された時の110分の上映時間のバージョンを収録している点にある。つまり、これまでホームビデオバージョンでは見ることができなかったオリジナル上映の未公開シーン10分が復元されているところにこの目玉たる所以があると言える。
ただ、いわゆるディレクターズ・カットというわけでもないので、10分間上映時間が増えたといっても物語に大きな違いはないし、テーマも違いはない。気が付いたのは、物語前半の主役であるジェームズ・ティエン扮するシューが活躍するシーンが増えたので、余計に前半の主役がシューである、という印象が強まったのと、ブルース・リー扮するチェンが売春宿で売春婦を買ってしまい、一夜を過ごすシーンが追加されたことで、ブルース・リー扮するチェンの田舎者の純朴な若者という印象がガラリと変わってしまったことぐらいか。
純粋に10分間追加したわけでもなく、ホームビデオバージョンのテイク違いも色々混ざっているので、レアな映像が見られるという以外に物語の大勢に影響はないのだが、それでもブルース・リーを追いかけてきたファンとしては、このレアな映像が見られるというのには狂喜乱舞するのではないかと思う。
ちなみにこの追加された映像自体は同じBOXセットの「ドラゴン危機一発」の特典映像の中にも収録はされているので、これらのシーンが映画本編にどのように収まっていくのか、というところに関心は向いている。
映像は4K UHD Blu-rayの「ドラゴン危機一発」とほぼ同じ画質であるが、追加されたシーンは素材フィルムとして劇場上映用のポジフィルムをマスターにしたのか、かなり解像度は悪く、色の褐色も進んでいて、ゴミや埃、傷なども盛大に出るため、どこで追加されたかがよくわかるようにはなっている。トータルとしては香港初公開バージョンがホームビデオで見られる、というところに利点があるので、画質について追及するのは野暮だと思う。
音質はdts-HD MA 1.0ch標準中国語で収録されているが、音質に関してはホームビデオバージョンも追加されたシーンも大きな差異はないように思う。モノラルサウンドトラックなので、そこそこの音質である。
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