レビューの詳細は、8 Mile(4K UHD/iTunes Movies)|Apple TVで観た映画のレビューを参照のこと。
実はこの映画、2002年の劇場公開時とそのDVD発売時には気にはなっていた映画だった。人気ラッパーのエミネムが主演しているというのもあるが、エミネムが歌っているラップソングが印象に残ったからである。
特に僕はエミネムのファンというわけではない。洋楽自体ほとんど聞かない。でも、映画として気にはなっていた。たぶんDVDを買わなかったのは予算的に手が回らなかったからだろうと思う。
それが、去年あたりにAppleのiTunes Moviesでバーゲンで売っていた。仕様を見ると4KでDOLBY VISION/ATMOSだったので、安さに釣られて購入したのだが、なかなか見る機会がなかった。
先日から運営しているサイトから「Apple TVで観た映画のレビュー」に何も書いていないので、feedが見つからない、という警告が出ていて、何かApple TVで映画を見るかなと思っていた。幸い、ディスク版のブルース・リーの映画もある程度区切りはついていたので、Apple TVで何か映画を見るタイミングが来ていた。
何を見るかという段になって、この「8 Mile」を見てみようと思い立った。上映時間が110分と短いというのも理由の一つだったが、昔に気になった映画を今見たらどう感じるか、というのも理由の一つだった。
作品内容は結構重い内容だった。エミネムの半自伝的内容を映画化したものではあるが、主人公のバニーのサクセスストーリーにはなっていない。1995年のデトロイトの底辺で暮らす主人公が生活に喘ぎながらそこから脱出しようとする物語で、バニーは白人だが、底辺の仲間には黒人も多く、彼らの主張がラップという形で表現されているので、どうしても内容が辛辣になってしまう。
こういう映画だとバニーが成功を掴んで終わり、という展開になりがちだが、一応クライマックスのラップバトルで優勝こそするものの、バニーはラップバトルが終わった後、再び底辺の工場勤務に戻ろうとするところで終わってしまい、成功を掴んだとは言い難い。そのため、妙な余韻が残る作品になっている。
バニーを取り巻く人々の描写も興味深く、彼にのしかかる重圧の大きさに底辺の生活の重さを感じ取ることができる。その中でも黒人のパワーの強さは強烈である。
映画自体は成功を収めているが、単純な内容ではないので、誰にでもお勧めできる作品ではないと思うが、人生に重圧を感じている人には、何かヒントのようなものを与えうる作品になっていると言える。
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