スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド シーズン2第4話「ロトパゴスの中で」(Paramount+/WOWOWオンデマンド)

あらすじ

エンタープライズはカユーガと共に星系の調査任務を行っていた。パイクはバテル艦長と食事を行おうとするが、ウーナの経歴詐称問題で対立してから、関係が悪くなっていた。さらに艦長としての任務が最優先のため、パイクとバテルは距離を置こうとする。

そんな中、エンタープライズに緊急の指令が来る。かつて訪問したライジェル7号星に行くようにとの指示だった。過去にライジェル7号星に訪れた時には、クルーが何人か死亡し、スポックを救出するので手一杯だった。そのライジェル7号星に建築物と連邦のマークがあるのを発見したので、調査指示が来たのである。

ライジェル7号星の住人たちは原始的な生活をしているケイラーという種族であり、ワープ航行以前の種族なため、文明的汚染を過去に訪問した時にエンタープライズが犯していたのではないかという疑念が発生していた。そのための調査として、再びライジェル7号星に向かった。

ライジェル7号星の文明的汚染を拡大させないため、パイク、ラアン、ムベンガはケイラーの衣装を着て惑星に上陸する。本来はオルテガスも上陸班に加わるはずだったのだが、惑星周辺の隕石をかわしてエンタープライズを航行させるにはベテランナビゲーターが必要とのことで、オルテガスは船に残った。

パイク、ラアン、ムベンガは惑星に上陸するが、最初にラアンの身に異変が起こる。耳鳴りがした後、何か記憶が失われていて、長い時間を経過していたのである。

それでも三人は建築物のそばまで行くが、ケイラーに捕らわれ、建築物の中に入れられる。そこには死んだはずのかつてのエンタープライズのクルー、ザックがケイラーの王として君臨していた。ザックはパイクに恨みを持っており、彼らを外に放り出して記憶を消してしまう。

ライジェル7号星は昔に小惑星が衝突して破壊され、隕石が周辺を彷徨っていたが、その隕石から放出される放射線が人体に影響し、記憶を失わせていた。ただ、全ての記憶が消えたわけではなく、その人本人を形作る元は記憶として残っていた。

記憶を失った三人はケイラーの監視の元、土木作業に従事していたが、彼らを一人の老人が助ける。そして、本能の記憶からパイクたちはなんとか現状を変えようと奮戦するが、ラアンが負傷してしまい、ラアンを助けるために建築物の中に入り込むための作戦を組む。

エンタープライズ内部でも乗組員の記憶が次々に消えてしまい、艦内のコントロールが効かなくなっていた。スポックですら記憶を失っていて、隕石が船に次々と衝突していた。オルテガスも記憶を失っていたので恐怖に怯えていたが、船のコンピューターの回答により自分が船を操縦できる、と本能で判断し、最後の賭けに出る。

感想

物語は、記憶を失ったパイクたちが記憶を取り戻すまでの話であるが、自分が誰かわからない、という状況でしかもピンチに陥っている、というシチュエーションの中で、どう問題に対処していくかが描かれ、ハラハラさせられる展開になっていた。

特に効果的な演出だったのは、記憶を失う時には耳鳴りが必ずする、という展開なので、甲高い高音がキーンと実際にスピーカーから鳴り響き、これが耳障りな音なので記憶を失うというシチュエーションを視聴者も実際に疑似体験できているところにある。

物語は、昔エンタープライズが訪れた低レベルの文明社会の惑星に連邦のマークがあることが発見され、文明汚染してしまったのでは? という疑念を調べるために再訪するという展開だが、そこでパイクたちが見たのは過去の訪問時に死んだとされていた乗組員が生きていて、生き延びるために文明汚染を図った、という事実である。この辺は、連邦の規約をどう捉えるかという提起にもなっていて、面白い。

物語中盤からパイクたち上陸班だけでなく、エンタープライズに残った乗組員たちも記憶喪失してしまうので、どう物語が転ぶのか、先が読めなくて結構前のめりになって鑑賞できた。そして、意外な結末に驚きと安堵を感じたものである。

物語の前節と結末は、パイクとバテルの恋愛関係についてのエピソードであり、これが結構物語中盤のパイクたちの記憶喪失に効いてくる要因になっているので、本質的エピソードではないものの、重要である。

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