スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド シーズン2第9話「亜空間ラプソディ」(Paramount+/WOWOWオンデマンド)

あらすじ

エンタープライズはアルファ領域の端にある亜空間の紐を調査していた。その亜空間の紐を使えば、亜空間通信が従来よりも高速でできることになるので、連邦艦の通信が容易になるはずだった。その調査の間、ウフーラの仕事は激増していた。

亜空間通信の高速化の実験は失敗続きで、13回も失敗していた。次の実験で通信に使う信号に音楽を使う判断をスポックとウフーラは固める。そして音楽を使った実験を行ったところ、亜空間の紐から非現実フィールドがエンタープライズを覆うことになる。

非現実フィールドに覆われたエンタープライズ艦内では、なんとクルーが会話をするつもりがミュージカル映画のように歌ってしまうことになる。それも問題なのは、クルーの感情の昂りが歌を歌うという行動を取らせることになり、クルーの心に秘めた想いを歌にして発露してしまうため、セキュリティ上の懸念が大きく生じていた。

パイク艦長もカユーガの艦長バテルとの感情の行き違いを歌にしてクルーの前で発露してしまったために、セキュリティ上の危機を理解していた。エンタープライズにはジェームズ・カークがやってきて、ラアンと共に危機を回収しようとするが、ラアンはかつてカークと別次元で恋に落ちていたため、歌で発露する前にカークに想いを告げる。カークはそれを聴きながらも「自分には恋人がいる」と言って、ラアンを受け止めなかった。

非現実フィールドはエンタープライズだけでなく、亜空間通信で繋がっている連邦の船や、異変に気づいて亜空間の紐を破壊しようと目論むクリンゴンの船にも広がっていた。スポックたちは亜空間の紐を破壊する手段を考えるのだが、実験するとさらにダメージが大きくなることがわかる。

ただ、誰かが歌い出すときに感情の昂りと共にエネルギーの波長が上がることはウフーラとスポックは発見していた。そして、ある一定以上の波長を越えれば非現実フィールドは破壊できると結論づける。それにはエンタープライズの乗員全てが歌い出す必要があった。

感想

スター・トレック初のミュージカル作品が、この「亜空間ラプソディ」である。スター・トレックでミュージカルなんてできるのか? という疑問が浮かんでくるのは当然だが、なんと亜空間の紐による非現実フィールドが発生した、という設定で、本当にスター・トレックでミュージカルを実現してしまったのである。

それも登場人物が皆歌い、踊るし、それぞれのキャラクターの心の内を歌にして発露するので、大変興味深い内容になっている。パイクとバテルの関係や、これまでのエピソードで描かれたジェームズ・カークとラアンのラアン側からの一方的な想い、スポックとチャペルの関係など、進展するのだかしないのだかわからないラブストーリーをこのエピソードでは見事に披露してしまっている。それも歌にして。

それでエンタープライズのクルーが歌い出す要因もSF的な設定でちゃんと筋道つけているのだから、やっぱりスター・トレックの世界であり、その辺の加減が大変ユニークである。

物語の解決の糸口を見つけるのがウフーラというのも面白い設定で、通信士官ならではの役割というものを彼女自ら示している。

物語は連邦の船のみならずクリンゴンまで巻き込んでの大騒動になるが、それを無事回収し、一応収まるところは収まっているのは見事である。ただ、チャペルがバルカン科学アカデミーの試験に合格してしまったところは、残り1話でどう展開するのか気になるところではある。スポックとの関係が切れそうな感じだし。

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