先週、選挙ウォッチャーちだい氏の著書を購入したことについて書いた。その際、名誉毀損を避けるために曖昧な表現を用いざるを得なかったが、本の感想を書く以上、内容に踏み込まなければならない。
購入したのは『「NHKから国民を守る党」とは何だったのか?』という書籍である。初版は2022年1月に発刊されたが、2024年の兵庫県知事選挙の混乱を機に再び注目され、同年12月に第2版が発刊された。
本書は2021年11月までの出来事を扱っており、第1章から第3章では「NHKから国民を守る党」とその党首、取り巻き、そして党首に同調する人々の行動の経緯が詳細に記述されている。第4章では、著者自身が同党から名誉毀損で訴えられ、裁判で勝訴するまでの実体験が綴られている。
しかし、本書の本質は第5章にあるのではないかと感じた。「NHKから国民を守る党」とは何だったのか、その党首の思想の背景には何があるのかについて、著者が考察を加えている。著者は「右翼でも左翼でもない、反知性主義に陥った人々」がこの党と党首を支持しているのではないかと指摘する(P236-)。
確かに、ネットやテレビのインタビューを見ても、この党の支持者はマスメディアに対する不信感を抱き、YouTubeの動画視聴やX(旧Twitter)での拡散のみを頼りに党と党首の言動を信じているように思える。さらに、彼らはこの党や党首に批判的な意見を持つ者に対して攻撃的な態度を取る傾向がある。
この本の出版後、2024年の兵庫県知事選挙をきっかけに、党と党首が再び勢いを増したように感じる。しかし、マスメディアでの報道は少なく、警察も特に動いている様子はない。この状況には日本の民主主義の危機を覚えざるを得ない。ただ、ちだい氏のように、この党の動向を継続的にウォッチし、記録し続ける存在があることは、社会の健全性を保つ上で重要な役割を果たしているように思う。
本書は2021年までの出来事を扱っており、現状を知るにはやや古い部分もある。しかし、それでも本書に記された内容を理解することは、日本の政治の一側面を知る上で極めて重要だと感じた。
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