佐野元春、地震に対して「それを「希望」と名づけよう」というタイトルの詩を発表

今日は元春の55回目の誕生日という記念の日なのだが、残念なことに2日前に起きた地震のため、あまり祝える状況ではない。そんな中、元春から詩が届いた。2001年のテロの時には「光」という歌が届けられたが、今回は詩である。その全文は、下記のようになる。著作権の問題もあると思うが、多くの人に届けばと思い、掲載する。

それを「希望」と名づけよう

佐野元春

街が揺れた夜、君はひとり無断で、

市営プールに潜りこみ、身体を水に浸した

そして暗がりの中、瞑想した

人は時に、光に水に、雨に風に、感謝し、

人は時に、光に水に、雨に風に、屈服する

この闇の向こうに震えるのは

誰か、嘆きの声

同胞の不在は確かに不可解だ

それはそうだ

しかしどうだろう

君は偽善の涙など流さないと誓ってくれ

決まりきったお悔やみなど無用だと言ってくれ

夜が明けて、そこにいつもどおりの太陽が照り、

草木は首をもたげ、

鳥たちは空を往く

あぁ、美しくも残酷なクリシェ!

一方で、

君の身体の細胞ひとつひとつに染みいる光はどうだ

傷だらけではあるが依然雄々しいその筋肉はどうだ

そうさ、君は同胞の不在を気にかけているんだろうが、

たとえば、

偶然にも生き残った君の生を讃えてみてはどうだ?

たとえば、

生き残ったことへの幸運を噛みしめてみてはどうだ?

不謹慎だとわめく偽善者を後に残し

君が光を放つことで、友を弔うんだ

それを「希望」と名づけていいんだよ

余震は続く

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