ローレライ

2005年フジテレビ、東宝

監督:樋口真嗣

出演:役所広司、妻夫木聡、香椎由宇

上映時間:128分

画面サイズ:シネマスコープサイズ

音響:DOLBY DIGITAL 5.1ch-EX、DTS-ES 6.1ch

ストーリー:第二次世界大戦の末期。日本は広島に原爆を落とされ、危機的な状況になる。軍部の朝倉大佐は、絹見艦長を招集し、ドイツから入手した最新鋭の潜水艦伊-507号の指揮を任せる。朝倉大佐は、第二の原爆投下を阻止せよと指示を出すが、その裏で日本を改革するための行動をとっていた。そうとは知らずに伊-507号の指揮をとる絹見艦長は、この潜水艦にローレライと呼ばれる索敵システムが搭載されていることを知り、そのシステムの脅威と、システムに組み込まれた少女の姿に驚愕する。一緒に船に乗り込んだ高須が途中で船を乗っ取り朝倉大佐の命令のもと、アメリカに船を売り渡そうとするが、何とか船を取り戻し東京に原爆を落として日本をクリアにしようとする朝倉大佐のもくろみを打ち砕くべく、絹見艦長は行動を起こす。

2005年は確かこの「ローレライ」の原作者である福井晴敏の作品が次々と公開されていたと思うが、この作品がいの一番に公開されて、それなりのヒットを記録したと思う。原作はあるが、元々は福井晴敏と劇団新感線の中島かずき、監督の樋口真嗣が与太話で「潜水艦と美少女、戦争」という題で作品が作られるかという話から始まっているので、映画のの制作と原作の執筆はほぼ同時に行われ、ただの小説の映画化にはなっていないのが本作の肝である。ストーリー的には潜水艦物のジャンルになると思うが、美少女パウラが登場したり、「ローレライ」という敵を探知するシステムの登場など、SFアニメの要素をも持っているので、単純な戦争ものというわけでもない。で当時戦争ものと勘違いした年配者が劇場に訪れ、ずっこけたという話も聞く。日本のアニメ好きならば意外とすんなりと受け入れられる話だと思うが、若手主演俳優が棒演技なので、見るべき点が絹見艦長を演じる役所広司とか木崎副長を演じる柳葉敏郎あたりになってしまうのはいかがなものかと思う。この作品で今は売れっ子俳優になってしまった佐藤隆太が妻夫木聡演じる折笠の同期として登場しているのもファンには見どころかも。でも結構情けない死に方をするのでがっかりすると思う。日本の映画にしてはCG等特撮は頑張っていると思うが、やっぱり予算が少ないせいでCG然としていて少しがっかりする。今回DVDで鑑賞したが、THX仕様でありながら、画質は悪い。というより色の発色が変である。赤に傾いた色調をしているし、黒浮きもしている。マスターになったフィルムがおかしいのではないかと思わせるところではある。音響は劇場と違ってDTS-ESも収録していて、マスタリングをハリウッドのスカイウォーカーサウンドで行っているせいもあって、かなり迫力がある。日本の映画にしては珍しいのではないだろうか。ゲスト出演で「機動戦士ガンダム」シリーズの富野由悠季監督がチョイ役で出ている。(でもはっきりとは分からないけれど。大和田通信所のシーンで出てくる) このあと樋口監督は「日本沈没」を撮ったりしているが、監督には向かないらしい。演出力はあまりない。やっぱり特撮監督のほうが合っているみたいである。

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