スティーヴン・キング著「ザ・スタンド V」文春文庫

文庫本1冊500ページ×5冊という大変長編な大作の完結編が、この「ザ・スタンド V」。ここでは、闇の男ランドル・フラッグと対峙する善の使者、ラリー、グレン、ラルフ、スチューの旅の行程が描かれている。それと同時に、ランドル・フラッグの元にフリーゾーンから送られたスパイの顛末や、ランドル・フラッグに仕えるゴミ箱男や、ロイド・ヘンリードといった悪の手下たちの最後、フリーゾーンを裏切ったハロルドやナディーン達の最後が余すところなく描かれている。前4巻で執拗に描かれていた登場人物たちの思考パターンや行動が、この最終巻によって見事に結実していくのがよく分かると同時に、その最後がどうなるのかの結末が描かれていて、かなりアップテンポに感じるところではある。物語の中盤で、とりあえずの完結をし、後はその後の展開を書きしるべているが、生き残ったキャラたちのその後は深い余韻を残すところがある。もちろん闇の男のその後も描かれていて、充実感満載である。キングの中でも1,2を争う傑作であるといえる。

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