岩瀬達哉著「ドキュメント パナソニック人事抗争史」講談社

パナソニックといえば、家電メーカーとしては大手ではある。しかしこの10年経営は低迷をし、何度かの赤字を計上し、何度かの人事リストラをしたのは記憶に新しい。この「ドギュメント パナソニック人事抗争史」は、そのパナソニックの社長を巡る人事がどう歪になっていったのかを、詳細な関係者へのインタビューを元に描かれたものである。実際、人事にまつわる内容について、ここまで詳細に描かれた本は珍しいのではないかと思う。社長と松下正治会長の決裁権を巡る攻防が、パナソニックを駄目にしていった原因であることが、赤裸々に描かれている。こんな原因を作ったのが経営の神様と言われる松下幸之助氏が、自身の娘婿に当たる松下正治氏を切ることができなかったのが原因というのも、最終的にはパナソニックを傾かせる原因になっているのは、なんとも言えないものを感じる。そして、社長も交代するにつれ、だんだんサラリーマン社長になっていったのも原因である、というのも興味深い。どこの会社もおかしくなる原因はあるのだなと、実感させられる本である。

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