口コミで予想外のヒットとなってしまった「この世界の片隅に」、劇場ではロングラン上映となり、DVD/Blu-rayの発売はわからない状況になっていた。片渕監督が沖縄の桜坂劇場での舞台挨拶で、「DVDは当分出さない」と発言したこともあり、自宅での鑑賞はできないものと思っていたが、この5月10日に突然iTunes StoreやAmazonでセルスルーのデジタル配信が開始された。早速購入して、自宅でのホームシアターで鑑賞したが、物語としての出来はやはり素晴らしい、と言わざるを得ない。3回目の鑑賞ということもあり、また、原作コミックを読み込んでいたこともあって、映画版では多少物語のつながりが欠けている部分もあるが、それでも映像と音響効果ならではの演出が、この作品の出来の良さを盛り立てていると言える。映像はHD画質なので緻密な描写が光っているし、音響もDOLBY DIGITAL 5.1chと映画館の音響よりは音質で劣るが、音響効果自体は劇場を上回っていたと思う。特に米軍の空襲は、5.1chの効果が劇場を上回っていたと思う。物語自体は、本当に淡々としていて、ユーモアもあり、悲劇もありと、単なる戦争映画というより、戦争の中でも普通の市民は、普通に生きていたという当たり前の忘れがちなストーリーをきちんと描いていたと思う。ことさら反戦を訴えかけている映画ではない分、むしろ戦争の悲劇を浮かび上がらせていたと言える。DVD/Blu-rayが発売される時には、どのような仕様で出るのか気になるが、それが出るのを楽しみにしたいと思う。
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