先にKindle版で発刊された「コロナ禍を旅する タイ編」に引き続き、今度は同じくコロナ禍で行動制限がかかっている中、制限の緩いエジプトに旅行に行く下川裕治の旅の顛末を描いたものが、この「コロナ禍を旅する エジプト・エチオピア編」である。今回もKindle版がリリースされ、書籍の注文が入れば、Kindleからデータを印刷して本にして出版するという変則方式をとっている。
今回の下川裕治の目的地はエジプトなのだが、そこに行くにはトランジットがいくつか必要になり、その中でエチオピアはトランジットのために一旦市内に出て、トランジット用ホテルに泊まっていることから、書籍のタイトルも「エジプト・エチオピア編」とついている。
そこで明らかになったのは、コロナ禍で行動制限を加えるアジアの空港や街中に比べると、アフリカであるエジプト・エチオピアは行動制限もなく、マスクをしている人もいないし、空港で防護服を着ている人もいない、また、空港の売店も絶賛営業中という対比が見られるところにある。リスクを避けるアジアに対してリスクをとって普通の生活をするアフリカというこの対比は、世界の考え方の違いを浮き彫りにさせている。
下川裕治自身は旅行作家なので、旅をすること自体が生き方そのものであり、コロナ禍だからといって自粛できなかったのだろうが、この書籍を読んだ2022-2023年の年末年始は、海外に出国する人も増えていて、徐々に日本も通常生活に戻りつつあるような気がする。ただ、2023年1月現在のコロナ禍は第8波が来ていて、感染者が急増していることから、日常生活に戻れるのか、今後が不明な点はある。それでも、日本でも自粛ということはできなくなってきているような気がするので、旅をする人は増えると思う。ただし、海外に旅行に行く人が今後も増えていくのかは不明だが。
内容的には下川裕治ファンの人にしかお勧めできないような内容だと思うが、旅行が好きな人は、目を通しておいても損はないと思う。
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