今から20年ぐらい前の沖縄ブームの際に刊行された沖縄関連書籍の中で、沖縄で暮らすオバァの生態について面白おかしく書き綴った書籍が、この「沖縄オバァ烈伝」である。20年前の刊行だから、かなり時代背景は古いのだが、2024年の春になって、読者からの熱烈なリクエストに応えて、突然復刊してしまった文庫本である。
僕も沖縄病に侵されているから、沖縄関連書籍は色々買って読んでいるが、この「沖縄オバァ烈伝」は読んだことはなかった。20年前の沖縄ブームの時にも、その後の時間の経過の中でも、沖縄のオバァに対する好奇心というものが乏しかったのだと思う。
沖縄で関心があったのは文化風習や食生活であったから、そういう事柄が書かれた書籍はいくつも買って読んでいるし、この本の著者の何名かはよく存じている人たちばかりである。実際、著者の一人である平良竜次さんにはご本人にお会いして、少し会話させていただいたこともある。
しかし、沖縄オバァについてだけは、関心が向かなかった。理由はわからないが、自分の祖母に対する複雑な感情がオバァに対する感情と絡んでしまい、関心を向ける気にならなかったのではないかと思う。
それでも、ネットで「沖縄オバァ烈伝」が復刊したという情報を仕入れると、「せっかくだから20年前の沖縄ブームの時に書かれた本であるが、復刊したのだから読んでみるか」と思い、購入をして時間のある時に読み進めていった。
この本を読んで思うのは、やはり沖縄オバァのバイタリティの凄さには驚くのと、その行動力の凄さに圧倒されるところだろうか。また、本は序盤は割と短い章が続いていくのだが、後半に行くに従って章が長くなる。今は沖縄に在住していない仲村清司さんのオバァに対する文章など、また一つ余計な知識を知ってしまったな、という面白さがある。
ここ最近は沖縄が抱える問題について書かれた書籍を読むことも多く、それにもいわゆるオバァ達が問題に対して異議を申し立てる場面も多く、心を痛める面が否めないが、この20年前に描かれたポップな「沖縄オバァ烈伝」では、そのような問題にはあえて触れないでオバァの特性を面白おかしく描いているので、気楽に読めるとは思う。あくまで20年前のブームの時に発刊された本であるという前提は必要だとは思うが。
僕自身は20年前の沖縄ブームの時のような熱っぽさから離れて、沖縄が抱える問題に対してヤマトンチューから何ができるのか、考えることが多くなってきている。時代背景がそういうふうになってきているし、ブームは終わったものと思っている。それでも沖縄ブームがなんだったのか、その残香を2024年のいま、改めて振り返る意味でも、この「沖縄オバァ烈伝」の復刊は重要だと思う。
コメント