近代史を学んだことがあるならば、「南京大虐殺」について目にしたことはあると思う。僕も大日本帝国軍が中国人を虐殺したという話は知っていた。ただ、大日本帝国軍が何人の中国人を虐殺したのかについては、よくわからなかった。中国が過大に虐殺された人々の人数を出しているという懸念もあったが、日本人の特性から考えれば、少ない人数の虐殺ではないとも思っていた。
昨年秋に紀伊国屋書店に行った時、この岩波新書の「南京事件 新版」が目に入った。買って読もうかなとは思ったのだが、その時は買わなかった。後日、楽天市場の期間限定ポイントの有効期限が近づいていたので、楽天市場でこの本を注文した。
届いてから読み出したのだが、最初の1章を読んだだけで、しばらく読まなかった。本を読む気力が乏しかったからである。
それが変わったのは2月の3連休に沖縄に旅行に行った時である。往復の飛行機内での時間潰しにと、また最初から読み出したのだが、あまりにすごい内容だったので、往復の飛行機内で途中まで読んで、その続きは土日に集中して読んだ。
この本を読むと、「南京大虐殺」、つまり本では「南京事件」として表現されているが、大日本帝国軍の戦争法違反が甚だしいところや、指揮官が功を焦って司令部の言うことを聞かないで進軍してしまったこと、中国人を虐殺したのは、日本兵のうち中年以上の兵士が主だった、など、あまりに中国人に対して酷いことをしすぎたことが克明に説明されていて、「日本人がまとまるとこういうことするよな」と改めて実感してしまった。
また、大日本帝国軍はアメリカ艦艇にも勝手に攻撃をかけてしまい、後でお詫びと賠償金を支払っているというどうしようもないことまでしているし、中国人の女性に対しては、強姦を繰り返していたなど、人道に反する行為が目立った。
この本では日本兵の日記から推定した「南京事件」の犠牲者数と、中国側が推定した犠牲者数が最後に書かれているが、開きはあるとはいえ、日本兵の日記から推定した犠牲者数もかなり多く、中国側の発表と大差ないと言える数だったことに衝撃を受けた。
この本は歴史の事実から推測を出しているのだが、現在の日本と中国の関係、世界の紛争問題を考える上で、振り返って学び直すべき内容になっている。ネット右翼たちは「南京事件」はなかったことにしたいらしいが、こういう書籍が出ている以上、「南京事件」はあったし、その犠牲者数はとんでもない数になっていたという推定も受け入れて、日本が戦後、どう歩むべきだったのかを改めて考える時期に来ているのではないかと思う。
さらに考えなければならないのは、「結びにかえて」という後書きである。ここは「南京事件」について現代で起きた問題を取り上げていて、ここも「日本人はひどいことをする」と思わせる内容になっている。この世の中に、「日本人は正しいことをしている」と信じたい人がいるのは知っているが、それを地で行くかのような発言や行動を取り、「南京事件」を生き延びた人をさらに追い詰める行為を平気で取る姿は、問題である。それらも踏まえるべきであろう。
