レビューの詳細は、UNFORGIVEN(1992)(4K UHD Blu-ray UK)/許されざる者/輸入盤DVDで観た映画のレビュー を参照のこと。かつてマカロニウエスタンで一世を風靡したクリント・イーストウッドが監督と主演を務め、1992年という西部劇が死滅している時代に勧善懲悪ものではない複雑なドラマが交錯する作品を生み出したのが、この「許されざる者(1992)」である。この映画は、1992年にシネコンの走りであるワーナーマイカルシネマ(現AEONシネマ)の神奈川の海老名でこの作品を見て感動し、DVDは購入したものの未見に終わり、イギリスのZavviでスティールブック仕様の4K UHD Blu-rayが発売されていたので、購入して試聴したのが、今回の感想になる。映画は勧善懲悪ものではないと書いたが、確かに絶対的な正義も悪も存在していない。主人公はかつて悪だったが、今は普通の生活を送っており、再び賞金稼ぎのために人殺しに走る展開になっている。その主人公も普通の生活が長かったのか、馬にすら乗れず、銃の扱いももたついていて的に当てられず、「これで賞金稼ぎできるのかな?」と不安になるほどである。それがクライマックスが近づくにつれ、次第に過去の実力が戻ってくるので、主人公として自立した存在になっていく。主人公と対立するのは町の保安官であるが、彼も悪かというとそうでもない。町の平和を守るため、結構暴力には走るが、悪党とは思えない。その善悪がはっきりしない中でのクライマックスで、主人公と保安官が対決するというのが、カタルシスをもたらす重い映画である。映像は4K/HDR10での収録で、元々が35mmフィルムなので、フィルムならではの解像度をもたらしている。また、HDR10によるカラーグレーディングは映像に没入する感覚を与える。音響はdts-HD MA 5.1ch英語だが、サラウンド感は抜群にあり、映画に没入する手助けをしている。アカデミー賞で四部門受賞した作品なので、必見の映画である。
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