映画「ノマドランド」(Apple TV 4K/Disney+/4K UHD)

 レビューの詳細は、ノマドランド(4K UHD/Disney+)/Apple TVで観た映画のレビューを参照のこと。2020年のアカデミー賞で、作品賞、監督賞、主演女優賞の三部門を受賞した傑作映画が、この「ノマドランド」である。特に主演のフランシス・マクドーマンドがプロデューサーも兼任しているので、作品賞と主演女優賞のダブル受賞を果たし、監督であるクロエ・ジャオは中華系アメリカ人なので、監督賞としては初の有色人種女性が受賞するという快挙を成し遂げている。映画は、石膏の採掘工場が閉鎖され、その城下町も閉鎖され、住む家を失った60歳の初老の女性ファーンが、自分のヴァンで生活を始め、短期の仕事を転々とするノマドの生活に入っていく展開である。映画には実在のノマドの人々が多数登場し、ノマドの生活の独立性を強く訴えかけるものがある。しかし、それは独立と同時に自分自身に責任を負うということでもあり、老人の多いノマドの生活の将来が不安定であることを意味している。ファーンのノマド生活は、映画ではリアルに描かれていて、そのリアル感が映画そのものを貫いている。また、広大なアメリカの風景をバックに一人佇むファーンやヴァンといったシーンが多いのも、その独立性の表れと見ることができる。夕暮れや日の出のシーンも多く、微妙なカラーグラデーションが、ノマドの不安定性を表しているともいえるだろう。ディスクメディアではBlu-rayまでしかリリースされていないが、Disney+での配信は4K UHDで配信されているので、HDR10の効果を含め、映像美を堪能することができる。音響はDOLBY DIGITAL 5.1chであるが、音楽が鳴らないシーンが多いので、環境音のサラウンド感が素晴らしい。この映画は必見の映画である。