今年の春、東京神田神保町の東京堂書店だけで、再販を行なった文庫本が、この井狩春男著の「返品のない月曜日」である。初版は、1989年なので、かなり古い。しかし、書籍を扱う取次と呼ばれる一種の本の問屋の内情を語った本としては、なかなか興味深いものがある。著者である井狩春男氏は、その本の取次で働いているのだが、取次がなんなのかから始まり、売れる本の要素とか、本屋と出版社との関係、また、著者が毎日刊行している「日刊まるすニュース」と呼ばれる新刊本の情報のコピーの掲載など、本好きならば、好奇心をもって読まれると思う。今回、東京堂書店のみで販売されるという販路を絞った形をとっているが、そのうちの一部は著者のサイン入りである。それなので、余計所有感が高い文庫本になっている。関東に住んでいる人で、本好きの人ならば、一度は神保町まで足を伸ばして買いに行っても損はないと思う。
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