「この世界の片隅に」のヒットにより、一般にも名前が知られることになった漫画家、こうの史代。そのこうの史代が「夕凪の街 桜の国」以前に書かれたほのぼの系の漫画がこの「こっこさん」である。「夕凪の街 桜の国」や「この世界の片隅に」では、戦争をテーマにしていたが、この「こっこさん」は、戦争とは全く関係なく、ある日、道端にいた目つきの悪い鶏を引き取った小学生のやよいと、その鶏「こっこさん」の日常をユーモアたっぷりに描いている。戦争物から入った僕的には、新鮮な展開の話ではあるが、考えてみると、日常の描き方などは、こうの史代独特の間があり、その辺が楽しんで読める展開になっている。「こっこさん」が全く可愛くないのが、逆に面白さを醸し出していると言える。やよいの家族との関係もユーモアたっぷりで、いい感じである。女性独特の感性で描かれているので、その感覚が新鮮に感じるところである。「この世界の片隅に」しか知らない人にも、オススメできる作品ではないかと思う。1冊で完結しているのも、とっつきやすい要因だと思う。ちなみに、本のページ右下には、パラパラ漫画が描かれており、こっこさんが動く、というギミックも入っているのは笑えた。
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