映画版「この世界の片隅に」にハマって、映画ではよく分からなかった部分が知りたくて、購入したのがこの電子書籍版の原作コミック「この世界の片隅に」である。基本ストーリーは、映画も原作コミックも変わりはないが、映画化に当たって、なるべく「反戦映画というレッテルを貼られないように配慮した」とあるように、映画版は、主人公すずの性格が、原作よりも明るめになっているように思う。逆にいうと、原作版は少し影があるというか、色々悩むことの多い若い女性、という描き方をしているように思う。ただ、原作が「反戦コミック」かというと、それも違っていると思う。原作にもギャグは結構あるし、読んでいて、引き込まれる描写は多いと思う。映画では分かりづらかったすずが出会う遊郭の女性、リンとの関係が、原作では結構物語の中心にあるので、この辺はあえて映画では外したのかな、という気はする。また、終戦後の台風の描写は、原作ならではの描写で、映画版でカットされたのはちょっと惜しいと思う。映画版も相当なリサーチを重ねていると聞くが、原作もかなり入念なリサーチを重ねた上で書かれているので、リアリティがあるし、映画を自宅で追体験するには、現状ベストかと思う。双葉社というあまりメジャーではない会社からの出版なので、ここに来ての人気に版が追いついていなくて、手に入らないことも多いと思う。そういう意味では、電子書籍版は、デジタルデータなので、デバイスがあれば、すぐに読めるのは大変便利である。
コメント