1988年に公開され、ヒットを記録したスペクタル超大作が、この「帝都物語」である。この映画の特徴は、原作でもそうだが、実在の人物や出来事と、架空の人物、出来事が巧みに融合し、一つのドラマを構築しているところにあると思う。現実の人物で言えば、渋沢栄一をはじめ、寺田寅彦、幸田露伴といった有名、無名の人物が主役級を張り、物語に食い込んでいくところが、興味深い。その一方で架空の人物であり、主役である加藤保憲の存在感は、圧倒的である。この映画の面白さは、帝都破壊を狙う加藤保憲というキャラの面白さが、作品を際立たせていると思う。また、監督である実相寺昭雄がかつて担当した「ウルトラマン」のように、日本の独特な特撮を駆使して、その作品を作っているところも、面白い一つである。最近ではこういう映画は作れないのではないかと思う。昭和のバブル絶頂期だからこそできた、映画ではないかと思う。なんで今、DVDで見たかというと、最近Blu-rayのBoxが発売されたらしいのだが、僕はDVDのBoxを発売当初の2000年前後に購入していたのだが、買ったっきり見ていなくて、Blu-rayが発売されたという話を聞いて、久しぶりに見ようか、と思ったのがきっかけである。映画館でも見ているので、初見というわけではないが、やはり2015年の今、鑑賞すると、時代を感じてしまう。画質は、DVDとしては普通だと思う。多少ブロックノイズが散見されるように思う。元のフィルムの状態と、フィルムグレインの情報が多すぎて、DVDのオーサリングが処理しきれていない感じである。音響も2chステレオとなってはいるが、実際はDOLBY SURROUNDで収録されているので、意外と音場感はある。今の5.1chサラウンドとか、7.1chサラウンドにはかなわないが、今のAVアンプで再生すると、かなり頑張っている印象を受ける。
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