「ガンダムと日本人」多根清史著、文春新書
大ヒットアニメシリーズ「起動戦士ガンダム」とその背景となった日本人の思想を解き明かした新書本。アニメの設定から、日本人の特徴を描き出している。特にモビルスーツの量産化と戦時中のゼロ戦の特徴を比較論じているところなどは中々興味深い。連邦とジオンの比較が欧米諸国と日本の比較ではなく、戦前の日本と戦後の日本の比較になっているなど、面白い思想が伺える。ただし、内容的にはあまりガンダム世界を書いているとは言えず、もっぱら戦前から戦後の日本人論を語っているように思う。シャア・アズナブル=小沢一郎説などは、本当かいなと思ってしまうところもある。総監督である富野由悠季の解説が最後のほうに少しあるだけで、彼の経歴が重要なのだという考えを持っている僕としてはちょっと不満である。ただし、本としては面白い。読んでいてなるほどと思わせるところもある。
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