マーベル・シネマティック・ユニバース・フェイズ5の2作目になるのが、この「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3」である。フェイズ2から断続的に制作、公開されてきた「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズも、この作品で完結である。
監督のジェームズ・ガンがDC映画の総指揮に移籍するので、マーベル作品に関わることができないというのもあるが、マーベル映画の中で3部作以上の作品があるシリーズは、「ソー」だけなので、キリのいいところで完結するのが、有終の美を持っていて、エモーショナルな感情を呼び起こしてくれる。
今回は、なんとヒューマノイドのようなアライグマ、ロケットが瀕死の重傷を負い、彼を助けるためにガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々が活躍するという展開になっている。そればかりか、ロケットの誕生秘話と彼の悲しい過去が明らかにされていき、事実上、この作品の主役はロケットになっているのが、キーポイントである。
ロケットに焦点があった結果、ピーター・クイルの影が薄くなっているが、「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」で死んだガモーラも別の時間軸からの復活ということで、物語を動かすキャラになっている。
物語的には、ロケットが自身の立ち位置を確認する人生見つめ直しの物語と、ガーディアンズの仲間意識の再確認物語として見ることができる。そして、ロケットを付け狙う完璧な生命体を生み出したい人物の野望を打ち砕く、純粋なアクション物としても見ることはできる。
実際、2時間半の上映時間と長いが、ストーリーがテンポよく進むし、次の展開が読めないので、非常に楽しい出来の作品になっている。そして、ラストのくだりはジーンとくる。
それでもマーベル映画の常として、おまけ映像は二つもあり、ちゃんとシリーズとの関連性を持たせているので、ファン的には楽しく、かつしんみりする終わり方になっている。
映像はほとんどのシーンでIMAX画角で上映され、3Dの奥行き効果と合わせ、臨場感あふれる映像を提供している。レーザー4Kなので、色彩も豊かで魅力的である。
音響も12トラックサラウンドで提供され、正にイマーシヴなサラウンド空間を生み出している。BGMを意図的に天井チャンネルに振ったり、平面の移動感も素晴らしく、IMAX12トラックの効果を発揮している。
5月3日という祝日の日の公開というのと、たまたまだが劇場の入場料割引デイが重なったのか、シリーズのファンが多かったのか、劇場のチケットは完売していたが、シリーズをよく知らない人でもそれなりに楽しめる作品に仕上がっている。楽しいひと時を過ごせて、満足である。
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