僕個人は土曜日に劇場に見に行き、その作品内容の良さに感嘆の息を漏らしたハリウッド映画「バービー」であるが、今日、興行通信社が8/11-13の週末3日間の観客動員数を公表した。
「バーベンハイマー」という造語と原爆のキノコ雲のイラストがSNSが拡散したことで、原爆とは何の関係もない「バービー」はとばっちりを受けたわけだが、そういう負の側面と、映画自体の複雑なテーマのために理解できない観客が多かったのが足を引っ張ったのか、サマーシーズン・ムービーとして世界では「ザ・スーパーマリオブラザース・ムービー」に迫る勢いの大ヒットを記録している「バービー」は日本では惨敗という成績と言ってもよく、観客動員で初登場8位という期待外れの成績になった。興行収入もおよそ2億円程度しか稼げていないらしい。
「バービー」を実際に鑑賞してそのテーマの複雑さや、映画ネタの散りばめ方のうまさに唸った身としては、この映画が評価されない日本という国のおかしさというか古臭さにショックを受けてしまうところではあるが、「バービー」の冒頭が「2001年宇宙の旅」のパロディというネタですら知らない観客が結構いるのを知って、日本人の映画を見ない事実に唖然としているところではある。ネタを知らないで「バービー」を批判している観客が少なからずいることをSNSで知って、古典的映画である「2001年宇宙の旅」すら見ていない観客が多いというのにも、日本人の映画に対する関心の薄さにがっかりしているところではある。この記事では「2001年宇宙の旅」だけ触れているが、当然その他の映画ネタも色々仕込まれているので、「2001年宇宙の旅」のネタすら知らないということは他の映画ネタなんかわかるはずもなく、日本人の映画に対する関心の薄さやそもそも海外に対する興味喪失すら根底にあるのではないかとすら思ってしまう。
他の人の批判や関心の薄さは僕の映画鑑賞に影響を及ぼさないかというと、間接的にはある。他の映画の日本での劇場公開に対する宣伝や上映携帯の制限、上映期間の短縮化など、少なくともハリウッド映画が日本でのプロモーションに力を入れなくなってくる恐れすら感じる部分があるから、この映画がヒットしないということは、やはり長期的に影響が出てくるように思われる。少なくとも原爆を直接取り扱った「オッペンハイマー」の上映の可否について少なからず影響は出てくるとは思っている。
僕自身は輸入盤Blu-rayで映画を見るのを主にしてはいるものの、IMAXやDOLBY CINEMAのようなプレミアム・ラージ・フォーマットのような上映形態はホームシアターでは再現が難しいので、劇場で見たいとは思っている。そういう意味では「バービー」は映画館に見に行って上映を応援したとは思っているし、なんかわからないが日本を覆っている「日本映画すごい!」論に対して意義は申し立てていきたいとは思う。
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